秋津壽男“どっち?”の健康学「70歳以上は誰でも誤嚥に注意!日頃から息を吐く訓練をすべし」 (2/2ページ)

アサ芸プラス

 正月になると老人が餅を喉に詰まらせて死亡するというニュースを耳にしますが、これは歯がなかったり入れ歯のため、食べ物をまる飲みした結果、餅の塊が気管に入ってしまう誤嚥の一種です。餅を食べやすいように小さく刻めば起こりにくくなりますが、もし周りで誤嚥が起きた際は速やかに救急車を呼び、その間の対処法として背中を叩くなどいくつかの方法があります。

 こうした誤嚥対策として有効なのは、強く息を吐く練習をすることです。イメージとしては、和田アキ子さんのモノマネする人が「あの頃は~」と歌う時に「ハァ!」とシャウトする発声が一番です。まるで大声を出すように息を吐くだけで、詰まった食べ物は飛び出すでしょう。

 さらに不安な患者さんには、誤嚥予防にACEという老人用の血圧薬を用いる場合があります。ACEは心臓や腎臓を守る効果があるなど、とてもいい薬ですが、唯一の欠点は咳が出ること。咳中枢に直接効くため、高血圧の患者さんが使って原因不明の咳が出ることが多いのですが、咳が出やすく喉に異物がつかえてもすぐに出してくれるため、副作用を逆手に取り、誤嚥性肺炎の危険がある老人に、あえて処方する手もあります。

 誤嚥は年齢を重ねれば誰にでも起こりうる症状です。慌てず息を勢いよく吐くということを覚えておけば、大事に至らないケースがほとんどです。

■プロフィール 秋津壽男(あきつ・としお) 1954年和歌山県生まれ。大阪大学工学部を卒業後、再び大学受験をして和歌山県立医科大学医学部に入学。卒業後、循環器内科に入局し、心臓カテーテル、ドップラー心エコーなどを学ぶ。その後、品川区戸越に秋津医院を開業。

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