【ツレが産後ウツになりまして】第8回:アトピー性皮膚炎との闘い・除去食の日々<後編> (2/3ページ)
だが、この5つの成分のどれかが必ず入っていて、どれも食べられない。加工食品のコーナーに歩を進め同じことを繰り返すが、何ひとつ食べられるものがなかった。
こうなったら、もう素材そのものを食べるしかなくなった。しかしサラダひとつ取ってもドレッシングには卵や乳製品が入っているのでNG。お刺身ひとつ取っても、醤油は大豆製品なのでつけることもできない。
結果、白米と、塩コショウを振って焼いた肉か魚、これしか食べるものがなくなった。本当にこれだけ。朝昼晩、全部これ。
食に執着がなく、出されたものだけを喜んで食べてくれる妻だが、これではあまりにもかわいそうだ。別に僕がやる必要はないのだが、妻だけに食事制限させるのが忍びなく、僕もそれに倣った。
「あなたは好きなものを食べて」と言われたが、とてもじゃないがそんな気にはなれなかった。
■ビーフシチューと妻の愛
そんな食生活を続けて、3ヶ月。季節は冬となり、赤ちゃんと初めて過ごすクリスマスまであと数日、というある日のこと。朝、NHKの料理番組でビーフシチューをやっていた。
それを観ていた妻が、ぼそりと「美味しそう……」。
わが子のためにと、文句のひとつも言わず食事制限を続けていた妻。いじらしさが込み上げてきた僕は、その晩ビーフシチューを作った。
市販のルウやデミグラスソースには大豆が入っているため、クックパッドとにらめっこしながらルウから作ってみた。
……が、結局失敗した。どう味わったって失敗。僕は途中で食べるのをやめてしまった。
それでも妻は「美味しい、美味しい」と言って、食べるのをやめない。
「りえちゃん、ムリしなくていいよ! そんな失敗しちゃったやつ」
僕は、思い描いた通りのものを食べさせてあげられなかったことに、少しイラついていたので、そう言った。しかし、
「あれも食べられない、これも食べられないっていうアタシのために、あなたは凄く頑張ってくれた。アタシはとても幸せだと思う」
様々な試練が、とめどもなく襲ってくる。それでも、そこから逃げることなく立ち向かっていけば、何か大切なものが得られるんだ。