ハリウッド俳優・尾崎英二郎が語る海ドラ『ハウス・オブ・カード野望の階段』の魅力 第1回「愛されない政治家・フランクが人々を魅了するワケ」 (2/5ページ)
今、アメリカの国民は「希望を抱ける大本命の候補者」がいないまま、11月の大統領本選を迎えようとしている混沌状態にあり、かつてオバマ大統領を生み出した時ほどの興奮の空気にはまだ達していない。
皮肉にも、『ハウス・オブ・カード 野望の階段』の主人公フランク・アンダーウッド(ケヴィン・スペイシー)は「特別に愛されてはいない政治家」という点で、トランプやクリントン両者とやや共通している。フランクは、国民から直接選ばれた大統領ではない。復讐心と陰謀の限りを尽くして、前職の大統領ギャレット・ウォーカーを失脚に追い込み、その代理としてトップの椅子に座った男だ。支持率が決して高くないまま、シーズン3&4ではついに初めて挑む大統領予備選と本選に突入していく。
ではなぜそんなフランクが、視聴者からの共感を得て、この政治ドラマを稀有な人気シリーズに押し上げたのか?
彼の政策の軸は、国民のための大胆な雇用拡大にある。「アメリカ・ワークス」という、米国各州に新たな雇用の機会を生むため政策を、議会の議員たちの妨害にあっても、たとえ違法すれすれのやり方であっても、実現に向けて全力で押し進めてきたのだ。
シーズン1で、前職の大統領陣営にあっけなく裏切られたフランクは、党をまとめ得る実力を持ちながらも、恵まれた境遇のスタートを切ることができなかった。彼の政界でのキャリアは、挫折そして冷や汗をかくような危機の連続だ...。しかし、失意が訪れる度に、その闇に沈むことなく熟慮し、時には圧巻のスピードと機転による「決断」によって、ピンチの数々を次から次へと乗り越える。
その姿が頼もしく、小気味よいのだ。取り返しのつかない犯罪まで実際には犯し、背水の陣にいるフランクだが、そのポジティヴで強い精神と実行力に、視聴者たちはいつのまにか「比類の無い資質」を見出しているといってもいいだろう。
揺るぎない「決断」と、留まらない「行動」。
これこそが、フランク・アンダーウッドを"次期大統領"に!とつい思わせる、人気の秘密だろう。