原作ファンの芥川賞受賞作家・村田沙耶香、『溺れるナイフ』愛を語る (4/4ページ)
ジョージ先生が描く、その選択と結末は、鮮烈でした。そんなジョージ先生の漫画『溺れるナイフ』が中上健次さんと繋がって考えられることが、未来の中上読者としては楽しみで、新しい希望ですね。
村田:大学の頃から、女の子の思春期の恋の話が好きで、もっと痛いものをずっと求めていました。ジョージ朝倉先生の「ハートを打ちのめせ!」を中学生に読んだとき、こういうものが本当に読みたかったと思いました。ある日、思春期の女の子をとことん書いてみたいと思った時、自分が育ったニュータウンに住む女の子を書いたのですが、それはジョージ先生が描く 「場所に縛られる」という事に衝撃を覚え、影響を受けたからです。『溺れるナイフ』も大好きです。思春期の女の子の切実さ、コントロールができないものの衝動を目立たないタイプの女の子ではなく、あえて目立つタイプの女の子というのが鮮烈でした。『溺れるナイフ』は少女コミックなのに「暴力」もきちんと描かれていて、以前は登場人物の暴力についてはあまり好きではなかったんですが、何度も読み返すうちに、だんだんと理解できるようになってきました。イヤじゃなくなってきた、というか...。暴力が衝動になるというのが、自分にはないので、好奇心とでもいうのか、それが中上健次的テーマであるならば、『溺れるナイフ』を通じて理解できたと言うことでしょうか。
11月5日(土)TOHOシネマズ渋谷ほか全国ロードショー
(c)2ジョージ朝倉/講談社 (c)2016「溺れるナイフ」製作委員会
■参照リンク
「溺れるナイフ」公式サイト
http://gaga.ne.jp/oboreruknife/