哲学者が考えた奇妙な10の思考実験 (4/6ページ)
あなたは様々な状況を認識していると思い込んでいるが、それは剥き出しの脳に感覚データが与えられている結果だ。あなたが見聞きし、触れるものすべては灰白質に流れる電気信号でしかない。このシミュレーションシステムが完璧なものであれば、あなたの存在の性質を反証することはできない。・4. 功利の怪物(Utility Monster)
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功利主義とは、最大多数の最大幸福を旨とする規範だ。いかにも完璧に聞こえる教条の限界を示すのが、この思考実験である。
ある科学者が普通の人よりも物事から功利を引き出せる存在を作り出したとしよう。私たちはケーキを食べれば、一定の幸せを感じるだろう。しかし、功利の怪物はその1,000倍の幸せを感じることができる。もしケーキが1つしかなかったとしたら、最大の幸福を得るためにそれを功利の怪物に与えるべきだ。ケーキが2つであっても、2つとも与えるべきだ。功利の怪物が一般人よりも多くの幸福を得ている限り、功利主義では大多数の人々を不幸にすることになる。それでも世界全体で見た場合の幸せの総量は最大のものなのだ。・3. ヴァイオリニストの比喩
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功利主義については、個人の権利を重視する立場からも批判されている。今、臓器移植を待つ人がいるとしよう。あなたは臓器の入った歩くバッグのようなものだ。あなたは幸せかもしれないが、数名の患者に臓器を与えれば、それ以上の幸せが生まれることだろう。