抵当権が設定された不動産を所有している人の相続対策を解説
抵当権という言葉を聞いた方、結構多いのではないだろうか。不動産を購入する際に、必ず聞く言葉だ。そもそも抵当権とは、住宅ローンで不動産を購入した場合、住宅ローンの貸主である銀行が当該不動産について設定する担保権のことだ。相続に関して、相続財産の殆どは不動産なのだが、抵当権が設定されたまま相続されることが多い。本来ならば、相続と同時に抵当権の変更をすべきなのだが、失念や手続きに費用がかかる等の理由により何もしないで相続されることもある。それが後々トラブルを招くのだ。
■遺産分割協議時、住宅ローンの残高を誰が幾ら相続するのかを決めておくべき
最初のトラブルは、遺産分割協議の際に発生する。
抵当権が設定されている不動産を相続する場合、当該不動産に係るローンの残高も相続しなければならない。相続税の計算に関しては、ローンの残高は相続財産の総額から差し引かれる。だが、ローンの返済義務事態は何の影響もない。つまり、ローンの返済義務はなくならないのだ。
結局は、相続人の内、誰が返済義務を負うか、ローンの残高を幾ら相続するのか。この二点で揉めるのだ。一番確実で安全な解決策は、相続そのものを放棄すれば、財産は相続できないが、ローンの返済義務は負うことがなくなる。
次のトラブルだが、相続後にローンの返済義務を負うこととなった相続人が、何等かの理由で返済不能(破産状態)になった場合だ。こうなると、手の施しようがない可能性が高くなる。折角相続した不動産が、競売にかけられてしまうからだ。
抵当権は、ローンの返済義務を負う相続人が返済不能となった場合、ローンの貸主である銀行が優先的に競売にかけることができる権利だから、他の相続人達が異議を唱えても競売を無効化することは非常に困難となる。つまり、競売に掛けられてからでは遅いのだ。
解決策としては、事前に相続人達と弁護士・司法書士・税理士と相談のうえ協議を重ね、誰がローンの返済義務を負うか、返済不能になった場合の対応策を練っておくべきだ。更に、オーバーローンと言って、不動産の相続税評価額よりも、ローンの残高が多い場合には特に注意しておいた方がいい。
いかなる場合でも相続をするからには、ローンの返済義務は相続人全員にある。全員で返済するか、誰か一人で返済するか。それは相続人達で協議のうえ決定するしかない。
オーバーローンの不動産は、相続開始前に売却しローンの残高を少しでも減少させるというのも有効な手段だ。いずれにせよ、事前に弁護士等の専門家と相談し、対応策を練っておくことが最も重要である。抵当権が設定された不動産を所有している方は、注意しておいてほしい。