世界のベストセラーを作った「日本マンガ史」解体“深”書!(3)日本にしかない「地球防衛軍」 (2/2ページ)

アサ芸プラス

そしてここで気がつくのが、地球防衛軍の存在である。

 地球防衛軍といえば、日本で知らない者はいない。古くは「鉄腕アトム」や「20世紀少年」にも名前が出てくる。「県立地球防衛軍」などは、タイトルそのものだ。この超有名組織は、アメコミには存在しない。ヨーロッパの漫画にもない。世界中の漫画を全て読み尽くしたわけではないので絶対にないと断言はできないが、少なくとも有名作品にはない。日本でこれほど知られた存在が、世界では描かれていない。

 なぜだろうか。東西冷戦を経験していた西側諸国にとって、敵はソ連であり共産圏諸国だったから、地球全体でまとまるという発想が生まれなかった、と説明される。そして日本人は古代から王国連合的な防衛共同体が好きだった、と。どれが正解か不明だが、地球防衛軍が日本的な発想から生まれていることは確かだ。

志波秀宇(しば・ひでたか)<漫画 研究家>:昭和20年東京生まれ。早大政経学部卒。元小学館コミックス編集室室長。元名古屋造形大学客員教授。小学館入社後、コミック誌、学年誌などで水木しげる、手塚治虫、横山光輝、川崎のぼるなどを担当。先頃、日本漫画解説の著書「まんが★漫画★MANGA」(三一書房)を出版した。

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