世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第186回 財政の時代 (2/3ページ)
「理論」からも「歴史の教訓」からも、民間企業に対する政府の束縛をなくすべきだ』
政府の政策の間違いとは、具体的には1930年ごろのFRB(連邦準備制度)が十分な流動性を供給しなかった、という意味である(実際にはしていたのだが)。逆に言えば、フリードマンは「FRBが十分な通貨を供給すれば、大恐慌は防げたはず」と言っているわけだ。
デフレに対しては中央銀行の通貨供給の増加で対応し、政府はとにかく、「民間企業に対する束縛」をなくすべき、という考え方が、フリードマンのデフレ対策の肝になる。すなわち、金融政策と「規制緩和」のパッケージというわけだ。
とはいえ、そもそも規制緩和とは、特定の市場、産業に「新規参入」を増やし、競争を激化させる価格抑制政策なのだ。つまりはインフレ対策である。
無論、需要が拡大し、供給能力が不足しているインフレ期であれば、構造改革や規制緩和は物価抑制という解決をもたらす。しかし、総需要が不足するデフレ期には、構造改革も規制緩和も状況を悪化させるだけだ。
筆者は別に、規制緩和を全面否定するつもりはない。さりとて、需要が拡大しないデフレ期に新規参入を増やしたとしても、国民間で「所得=GDP」の奪い合いが発生するにすぎない。
企業やビジネスにとって、需要低迷期の競争激化の結果は「自己責任」という話になるのだろうが、経世済民を目的とし、国民経済全体を見据えるべき政府が「デフレ期の規制緩和」を推進するのは、筋が通らないのだ。それにもかかわらず、過去の日本銀行や政府の諮問会議は、デフレ対策として金融政策と「規制緩和」のパッケージを主張し続けてきた。この異様な状況が、ついに好転したのである。
時を少しさかのぼり、8月5日。英フィナンシャルタイムズ紙が「英中央銀行(イングランド銀行)利下げ、次は財政出動の出番」という社説において、イギリスにおける財政政策の拡大を訴えた。フィナンシャルタイムズ紙は、
「イングランド銀行の大規模な金融緩和が政治家に時間的余裕を生み出した後、今度は政府が的を絞った財政出動に乗り出す番だ」
と、緊縮財政路線を継続してきたイギリス政府に対し、日本同様の「方向転換」を求めたのだ。