世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第186回 財政の時代 (3/3ページ)
さらに、8月9日には米ウォール・ストリート・ジャーナル紙が「米インフラ関連株が過熱、財政出動に注目」というタイトルの記事を配信。
「政府の倹約ムードも終わりに近づきつつある。日本政府は真水の部分で700億ドル規模の財政刺激策を打ち出し、米国大統領選の共和党候補であるドナルド・トランプ氏は総額1兆ドルのインフラ投資を行う意向を表明した」
と、日米の政策転換について書いていた(トランプ氏が大統領に当選するかどうかは、現時点では不明だが)。
現在の世界は、日本、アメリカ、欧州、中国などの主要国・地域のほとんどが、深刻な需要不足に陥っている。特に、長期金利までもがマイナスに落ち込んでいる日本、ドイツの需要不足、あるいは資金需要不足は深刻だ。長期金利がゼロを下回っている以上、必要なのは金融政策でもなければ、構造改革でもない。政府が国債を発行し、国内で消費・投資として支出。国民経済の需要を作り出す「財政政策」だ。
ところが、今年5月の伊勢志摩サミットまで、世界の経済政策は金融政策に偏り、金利がひたすら低迷する中、企業の投資が十分に回復しない状況が続いた。問題は「総需要不足=デフレーション」であり、企業は需要がない故に、投資をしない。銀行からお金を借りない。にもかかわらず、各国政府は金融政策で金利をひたすら引き下げ、企業の借り入れや投資を増やそうと試み、失敗した。
しつこく繰り返したいのだが、不足しているのはお金ではなく、投資や消費という需要なのだ。企業にとって投資を増やさないことが合理的なデフレ期には、政府が財政政策で需要を創出するしかない。
と、ようやく「当たり前の事実」が浸透し、財政の時代が始まろうとしている。安倍総理をはじめとするわが国の政治家には、今回こそが日本のデフレ脱却のための「ラストチャンス」であることを、肝に銘じてほしい。
みつはし たかあき(経済評論家・作家)
1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。