イチロー メジャー通算3000本安打の原点 〜スポーツジャーナリスト・友成那智〜 (2/4ページ)

週刊実話



 イチローのバットは「バントヒット製造機」という役割も担っている。
 米国では毎年8月になると老舗の『ベースボール・アメリカ』誌が監督アンケートの結果を発表する。その中には『ベスト・バンター』という項目もあり、2001年から'10年まではイチローが1位ないし2位に選ばれていた。
 イチローが監督たちからバントの名手という評価を受けていたのは、送りバントがうまいだけでなく、バントヒットの成功率が際立って高かったからだ。イチローのメジャー16年間のバントヒット成功率は45.7%という高確率で75回も成功させている。
 この75個は3000本安打の2.5%を占めるだけだが、あるとないとでは大違いの数字だ。仮になければ、今季中の3000本安打達成は不可能だった。

 この一人三役をこなすイチローのバットは、今年で23歳になる。
 誕生したのはイチローがオリックスに入団して2年目の1993年のことだ。
 それまでイチローは元巨人の篠塚(和典)モデルのバットを使用していた。だが、ヘッドの部分がやや重いと感じており、先輩の小川博文内野手(現DeNA打撃コーチ)がミズノの養老工場に行く際、同行してバットの名工久保田五十一さんにそのことを相談した。
 それを聞いた久保田さんは、
 「それを解決する方法は二つあります。一つは、重い木を使ってヘッドの部分を少し細くするやり方です。もう一つは、軽い木を使って根元の方を少し太くするやり方です」
 と述べた上で、イチローにどちらを選択するか決めるように言った。
 そう言われても、当時のイチローは答えに自信がなかったので、
 「久保田さんなら、どちらを選びますか?」
 と尋ねた。すると間髪をおかず、久保田さんが、
 「ぼくなら重い木を使ってヘッドの部分を少し細くする方を選びます」
 と断言したので、イチローはそれに従った。

 久保田さんはさっそく篠塚モデルのヘッドを0.5ミリだけ削ってイチローに手渡した。直径61.05ミリを60.55ミリにしただけだが、振ってみるとヘッドの重い感じが消え、抜けやすくなっていた。
 こうして篠塚モデルに少し改良を加えたものが、イチローモデルになった。
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