世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第190回 生乳流通改革という規制緩和 (3/3ページ)
あるいは、生産量が天候不順等で減少した際に、価格高騰というしっぺ返しを受ける。
イギリスで失敗した「規制緩和」を、そのまま進めようとしているのが日本の安倍政権であり、規制改革会議なのだ。誰のためなのか。もちろん、生乳を「買いたたく」ことを欲する大手流通・小売業がバックにいるのだろう。あるいは、それらの大資本の「株主たち」である。
厄介なのは、生乳の指定農協団体制度を解体すると「消費者利益」が発生するという点だ。何しろ、日本はいまだにデフレという「価格下落&所得縮小」に悩まされている。結果、消費者はむしろ「指定農協団体をつぶし、生乳価格を引き下げる」政策に賛成してしまう。
実際に指定農協団体制度が解体されると、酪農家は弱いところから廃業していく。すなわち、所得を稼ぐ術を奪われる。廃業した酪農家は、お金を使わない。廃業酪農家たちが支出することをやめた商品やサービスは、実は一時的に「バターや牛乳の価格が下がった」と喜んでいた“読者が生産している商品やサービス”かも知れないわけだ。
読者が生産しているモノやサービスが売れなくなると、当然「読者の所得が減る」という事態になる。すると、読者はモノやサービスの購入を減らし、それらを生産している誰かの所得を縮小させる。貧困化が、ひたすら進む。
国民経済はつながっている。少なくとも、現在の日本が「誰かの所得を減らす」規制緩和を推進することは、明確な「悪」なのだ。
みつはし たかあき(経済評論家・作家)
1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。