【芸術の秋】恋愛力が高まる文豪のラブレターとは【10月3日~7日】 (3/3ページ)
鏡子夫人が夏目漱石に宛てた手紙です。
「あなたがかえりたくなった、淋しい、女房が恋しいなぞとは今までにないめずらしいことと驚いています。しかし私も、あなたのことを恋しいと思いつづけていることは負けないつもりです。お別れした最初のうちは、目が覚めると寝られぬくらい考え出して困りました。どんなことがあってもあなたにお目にかからぬうちは死なないことと決めていますから、ご安心あそばせ」。
皆さんならどんな手紙を返すでしょう? 生まれたばかりの子どもを抱え、心細い思いをしながらも、そこをグッとこらえ、「どんなことがあってもあなたにお目にかからぬうちは死なないことと決めていますから、ご安心あそばせ」と言い切った鏡子夫人。
多くの人から愛されつづける国民的な大作家、夏目漱石を支えつづけた女性の愛は、とてつもなく大きくて深い。同じ女性として、その強さに胸をうたれました。
ラブレターを書こう!
熊本の借家でちいさな結婚式をあげた夏目漱石と鏡子夫人。仕立ての良いスーツを着て、すこし憂い顔の夏目漱石の写真を見て、穏かな男性というイメージを持っている方も多いと思いますが、実は神経症のせいか、かなり気性の激しい性格だったようです。
ロンドンから帰国後、漱石の神経症は悪化。ときに妻に手をあげることもあったようです。まわりの人たちに離婚をすすめられても、すべては病気のせいと、なにがあっても別れることなく生涯をともにしたふたり。「お目にかからないうちは死なない」と記した鏡子夫人は、漱石が49歳という若さで亡くなるまで愛しつづけました。
ラブレターという言葉自体、目にすることはすくなくなりましたが、大好きな人に書くラブレターには、うそ偽りのない自分があふれていますね。
芸術の秋、ラブレターを書いてみませんか? お相手がいないという皆さんも、まだ見ぬ恋人を思って。自信がないという方は、すばらしい感性を持った文豪たちのラブレターを読んで恋愛力を高めましょう。
【参考】『大切な人に使いたい美しい日本語』山下景子/大和書房