『光のほうへ』『偽りなき者』の脚本家、トビアス・リンホルムが監督作『ある戦争』に込めた思い (2/4ページ)

AolNews

私自身が兵士の経験もないのに役者たちに「兵士はこうあるべきだ」と指導するのは傲慢だと思ったので、演技の部分はプロの役者に任せつつ、元兵士の方たちから役者に「兵士であること」を指導してもらうという方法を取りました。彼らは実際に戦地で目の前で友人が爆死する様を見てしまったり、敵を撃ち殺したり、日々武器を手にする生活を経験しているので、作品で描いた全ての事を深く理解していました。私自身もリサーチの段階でタリバン兵とも話をしましたし、また、法廷のシーンでは実際に判事だった方に演じてもらいました。そうすることで、これはフィクションではなく現実として受け止めなくてはならないものなんだと観客に伝えられるのではないかと考えました。


――この映画には命を奪い失う事の重みや、正義の意味など国籍を超えて伝わるテーマがあると思います。作品を演出する上で、監督が中でも特に伝えたいテーマがあれば教えて下さい。

この状況の複雑さを見せるというのが今回の一番の目標でした。血まみれで死にかけている友人を目の前にして、空爆をすれば助かるかもしれないけど、一般市民が犠牲になるかもしれない。観客を「あなたならどうする?」という複雑な状況に置きたかったんです。それこそが戦争がいかに複雑なものであるかということの証拠でもあると思いました。私にとって「いい戦争」なんて存在していなくて、どの戦争も人の命が奪われることに繋がっています。このことは受け入れがたいことです。南スーダンやシリアの市民の状況を見ていれば、彼らを助けたいと思うロジックは私にも分かります。ですが、良いことだけではなく、悪をもたらしてしまうことになるのであれば、派兵して助けることが正しいかどうかは疑問です。それこそが戦争というものの複雑な部分であり、この映画を作った理由でもあり、描きたかった部分です。 


――あなたの監督3作品は、いずれも主演がピルー・アスベックですね。

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