『光のほうへ』『偽りなき者』の脚本家、トビアス・リンホルムが監督作『ある戦争』に込めた思い (1/4ページ)
『光のほうへ』『偽りなき者』の脚本家として知られるデンマーク出身のトビアス・リンホルムが監督を務めた『ある戦争』。過酷な戦場の様子をリアルに描き、見事2016年の第88回アカデミー賞®外国語映画賞にノミネートされた話題作だ。主演はハリウッド実写版<攻殻機動隊>の『GHOST IN THE SHELL (原題)』でバトー役に抜擢されたデンマークを代表する俳優ピルー・アスベック。極限状態における正義の在り方や家族の愛を、戦地と法廷、2つの場所を舞台に観る者に問いかけるヒューマンドラマの傑作を生みだしたトビアス・リンホルム監督のインタビューが到着した。
――デンマークでは、映画で描かれているような事例が(兵士が戦地で起きた問題について祖国で起訴されること)が、以前から国内で大きな社会問題となっていたのですか? また、公開後の反響についてお聞かせいただけますか?
この映画は、一つの具体的な事件と言うよりは、いくつかの事件を参考にしています。こういった事件はあまり報道がされていなかったというのが、この映画を作った理由でした。映画が公開された後、この作品を通してデンマークの方々も「戦争に兵士を派遣するとはこういうことだ」という現実に気付いて、たくさんのディベートが起きるようになりました。そこからさらに、アフガニスタンへデンマークが派兵することが議論されたのですが、残念なことに政治的には何も変わらず、現在、デンマークはシリアの爆撃にも参加しています。ただ、戦地の兵士である彼らの行動の結果に対する理解を少しでもこの映画を通して知ってもらえたのではないかと思うので、次の選挙にもこういうことを参考にしてもらいたいです。
――アフガンでのシーン描写は元デンマーク軍人も参加されているとあって、とてもリアルでした。俳優を使わないことは決めていたのですか? その理由を聞かせてください。
映画を作るとき、なるべくその道のプロを使いたいと思っているので、戦地を体験し目撃している兵士の方たちにも参加してもらいました。