横浜点滴殺人「内部犯行説」で浮上した「終末病棟」の闇現場 (2/2ページ)
大口病院関係者が重い口を開く。
「患者に大した治療を行っていたわけでありません。病院は病床の回転率を上げていかなければ、診療報酬が稼げない。不謹慎かもしれないが、どんどん死んでもらったほうが、新しい患者を受け入れられるので、病院経営にとっては好都合という考え方もできる」
事件の“下地”はできていたというのだろうか。
別の捜査関係者が言う。
「2人の点滴殺人と46人の大量死とのつながりも視野に入れて捜査が進められている」
事件は「無差別大量殺人」として拡大する様相を帯びてきた。その予兆は以前からあったと前出・病院関係者は言う。
「病院は利益優先で、そのしわ寄せは現場に向いていた。最近は看護師の離職率が高く、人手不足で仕事量が増えていた。こうした中、4月には看護師のエプロンが切り裂かれ、さらに患者のカルテが紛失。ペットボトルへの異物混入など、トラブルが続いていた。そして今回の事件ですよ‥‥」
この病院関係者は、1カ月ほど前に、4階ナースステーションで、一人の看護師が疲れた表情を浮かべ、このような不満を漏らしているのを耳にしたという。
「点滴や注射を打っても、よくなるわけでもない」
前出・長嶺医師は、疲弊する終末期医療の闇現場に警鐘を鳴らす。
「我々が激務に耐えられるのは、患者さんの笑顔があるから。しかし、終末期医療では患者さんがよくなる見込みがありません。希望が見いだせないのです。そのため、たくさんの医療従事者が心を病み、ストレスを抱えている。医療界全体で取り組んでいかなければ、同様の事件はまたどこかで起こりうるでしょう」
はたして「すぐ近くに潜んでいた」とされる犯人の正体とは──。近隣に住む60代の女性は、その影におびえるばかりだ。
「週に1回、整形外科外来に通って、膝に注射を打ってもらっていたけど怖くて、今は通院をやめている」
一刻も早い解決が待たれる。