黒沢清の海外初進出作『ダゲレオタイプの女』主演の仏俳優が語る黒沢監督の魅力 「ある種の神秘性のようなものを持っている」 (2/4ページ)

AolNews

監督はとても穏やかで、周りの人にも敬意を払う方です。感じが良い方ですし、ある種の神秘性のようなものを持っています。

--黒沢監督は「夢のような時間だった」と撮影を振り返られていましたが、現場の雰囲気はいかがでしたか?

撮影は、私にとっても本当に良い時間でした。スタッフも俳優も本当に良い人ばかりで、私たちは毎日楽しく撮影を行っていましたし、とても上手くいったと思います。楽しいときはやはり時間の流れ方が違いますね。この現場は楽しく、まるで学校の休み時間にいるような感覚でした。

--ラストシーンのラヒムさんの表情が印象に残りました。ラヒムさんご自身がベストアクトだと思うシーンや、好きなシーンはありますか?

私がこの映画の中でいちばん難しかったシーンが、まさにラストのシーンです。主人公のジャンは幻覚を見ているのか現実にいるのか、そして観客にはヒロインのマリーが見えているのに、自分には見えないのか。このシーンを演じるにあたって、たくさんの疑問が頭の中にありましたし、「これだ」という答えはありませんでした。だから、あくまで演技は私がその場で直感的に行ったものです。 私が素晴らしいと思っているのは、マリーが岸辺に現れるシーンです。まるで蛍がそこに現れるかのようで、とても美しいシーンです。黒沢清監督はCGを使わずに照明だけであのシーンを撮っています。本当に素晴らしいシーンです。


--主人公のジャンや写真家のステファンは、私利私欲に走ったり、他人にエゴを押し付けたりします。この映画では、出てくるキャラクターの弱い部分がかなり描かれていますよね。

登場人物が不完全な人間であることは幸運なことだと思います。なぜなら完全な人間というのは退屈だからです。人間には良いところも悪いところもあって、そういう複雑性があるからこそ、観客の方も(自分と)同一視することができます。

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