定義を気にするだけでOK!数字を正しく読むための簡単な考え方
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数字
こんにちは。深沢真太郎です。
ビジネスパーソンを数字と論理に強くする「ビジネス数学」を提唱する、教育コンサルタントです。
私たちビジネスパーソンにとって大切な数的リテラシーは何か。
計算すること? もちろん大切です。でもそれよりずっと大切なのは、数字を読むことではないでしょうか。
日経新聞。会社のパソコンの中にあるデータ。デスクの上に置いてある会議資料。私たちの周囲には、読むべき数字がたくさんあります。
そして、数字を読むとは人間が脳を使ってやらなければならない行為、つまり思考です。一方、計算は電卓やエクセルがアッサリやってくれます。つまり私たち人間にとっては単なる作業に過ぎません。
そこで、今回は数字を正しく読める人が無意識にしている思考回路をひとつご紹介することにします。
数字に苦手意識がある方でも必ずできる簡単なことです。ぜひ参考にしてください。
その思考回路とは、「その数字の定義は何か?」を必ず確認することです。
■数字を正しく読むためのトレーニング問題
たとえば、次の数字をあなたはどう読みますか。(※数値は仮のものです)
(1)少年犯罪の件数は年間9万件を超えた
(2)日本のエンゲル係数は22%に上昇した
(3)アルバイトの時給が1,000円代に突入した
数字の定義を気にしない人は、ついこのように読んでしまうようです。
(1)そういえば少年の凶悪犯罪が増えているような……
(2)日本人は食に対して贅沢になってきているってことかな?
(3)若者にとっていいニュースだね!
しかし、数字を正しく読める人はこのような結論を出しません。たとえば、私ならこのように考えます。
(1)少年犯罪の定義は? → 少年の犯罪
(2)エンゲル係数の定義は? → 消費支出に占める食費の割合
(3)アルバイトの定義は? → 非正規雇用の一種
■数字の定義を気にするだけで真実がわかる
したがって、このように数字を読み解いていくことでしょう。
(1)高齢化社会なのだから、どう考えても少年の犯罪は減っているはず。
(2)高齢者の増加により人々の総支出は減っている。しかし人間だから食費は一定でかかる。
(3)若者の減少により企業が採用難に陥っている。高齢者の採用が必要。日本、大丈夫か?
このように定義を気にするだけで、まったく違う読み解き方ができます。そしておそらく、私の読み解いた内容のほうがその数字の真実を掴んでいるはずです。
伝える側の意図が込められた“作った数字”や自分自身の先入観に惑わされることなく、数字は正しく読み解きたいもの。
そのためのポイントは、その数字をしっかり定義することです。申し上げた通り、あなたでも必ずできる簡単なことですよね。
■なぜ数学的な人が数字を正しく読めるのか
私は学生時代に数学を学び、いまはビジネス数学の専門家として活動しています。
そんな私は、どんなときでも定義を気にすることが身体に染み付いています。それは、数学という学問は定義をしないと始めることができない学問だったからです。
有理数とは何か? 円とは何か? 三角形とは何か? そもそも数とは何か?
数学というのは、当たり前過ぎてサラッと流してしまいそうなことをしっかり定義しないと成立しない学問です。だから、数学的な人はデータを正しく読めるのです。
数学なんてビジネスパーソンには役立たない? そんなのウソです。
(文/深沢真太郎)
【参考】