超音波で昏睡状態に陥った患者の脳の復活に成功(UCLA) (2/3ページ)
一組の小さい卵状の構造でなる視床は、世界から脳にもたらされる一切の情報が経由する領域であり、一種の放送局である。皮質と視床は謎めいた会話らしきことを行うが、これは意識のある状態でしか行うことができない複雑な行為と関係がある。
治療当時、患者はわずかだが意識がある兆候を示していた。目で動きを追い、手を伸ばそうとすることもあった。もちろん、通常の人のようにはっきりと意識があったわけではない。その患者の側頭部に装置を取り付け、10分間にわたって1セット30秒の刺激を10回繰り返した。
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昏睡状態だった患者がついに目覚める
この治療後、患者は目で動きを追い、手を伸ばそうとするだけでなく、スプーンを使おうとし、さらに物の認識や区別ができるようになった。ほかにも声を出そうとしたり、瞬きで返事をするようにもなった。
治療から3日後、患者は自分に話しかけられた言葉を完全に理解していることを示し、周囲の状況についてもきちんと把握するようになった。質問に対してうなずいたり、かぶりを振って返事をしたり、医師にグータッチを求めたりもした。
5日後、患者の父親が彼が歩こうとしていることを報告。6か月の診断では歩行も会話も可能となった。この時点で80パーセントは回復したと本人は話しているという。
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刺激と覚醒の関連性に課題
非常に有望な実験ではあるが、大きな疑問も残る。それは放っておいても自然に昏睡状態から目覚める日にたまたま刺激を与えていたのではないかということだ。
つまり、刺激にはまったく意味がなく、研究チームが患者にただ歌いかけただけでも、まったく同じ結果を得られていた可能性も大いに考えられるのだ。