めぐみさん拉致から39年、試される安倍首相の「突破力」 (2/2ページ)
いずれにせよ、拉致問題も含め日朝交渉は今後より厳しくなることは覚悟しておかなければならいようだ。
まず、金正恩体制は核実験とミサイル発射を継続する意思を明確にしている。拉致被害者の家族からは、政府に「核問題と切り離して拉致を最重要課題として取り組んでいただきたい」と求める声もある。その切実な思いは理解できるが、日本政府は北朝鮮の国家的な人権侵害を国連で告発してきた立場がある。
そうした経緯をないがしろにして「他の人権問題や核・ミサイル問題は関係ありません。日本政府は、日本人拉致問題だけに取り組みます」では通用しない状況になっているのだ。日頃から訴えてきた「国際連帯をもって拉致を解決する」というスローガンを自ら空証文にしてしまうだろう。なによりも、北朝鮮側から足下を見られ、国際連帯の隙を突かれる可能性が高い。
また、次のアメリカ大統領に決まったドナルド・トランプ氏の対北朝鮮政策は、不透明感が強い。さらに、北朝鮮に対して強硬姿勢を貫いてきた韓国の朴槿恵大統領は崔順実ゲートで窮地におちいり、しばらくは国内問題に注力せざるをえない。日本が頼りにしてきた対北包囲網は、一時的に弱まることが考えられる。
こうした中、北朝鮮の姿勢を転換させることは並大抵ではないことを踏まえたうえで、拉致問題の糸口を探る必要がある。少なくとも、集会などで「やる気」を見せて主張しているだけで解決するような問題ではない。
冷厳な国際政治の中で、日本人拉致問題の解決は、核・ミサイル問題とその他の人権問題の「向こう側」に置かれてしまっているのが今の現実だ。それを再び、ほかの問題の「手前」に引き寄せるのは、もはや安倍首相の個人的な突破力しかないのではないか。前述したような理由から、米韓などと意見調整をしていたら、何も動かすことはできない。
小泉純一郎元首相のように、北朝鮮に乗り込んで、たとえ全員でなくとも拉致被害者を連れ帰ってくる――アメリカや韓国から何を言われようが、これを「やり遂げて見せる」との宣言を、まずは安倍首相から聞いてみたい。