【不朽の名作】これで終わっていればシリーズの評価も高かったかも「踊る大捜査線 THE MOVIE」 (2/3ページ)

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それでも湾岸署内での窃盗事件を絡めることで、ギャグのノリは維持してはいるが。これが、『あぶない刑事』シリーズなら、元々荒唐無稽な作品なので、相手がテロ組織だろうと、巨大マフィアだろうとノリは変わらず「まあ、あぶ刑事だし」で許されてしまう。しかし、本作はある意味での警察や刑事の「リアル」な姿が売りだったので、さすがに事件にそのあたりが追いつかなくなっている。

 加えて、同作はとにかく凶悪犯の描き方が下手くそだ。被害者の胃の中に熊のぬいぐるみを入れて殺した日向真奈美(小泉今日子)は、おそらく『羊たちの沈黙』のレクター博士を意識したのだろうが、これがとりあえず狂ってればいい的なノリでかなり安っぽい。これはドラマシリーズの最終回あたりでも言えたことなのだが、作中にサイコパスを出す際、同シリーズでは狂ってる感を、とりあえず思わせぶりで笑わさせるか、変な表情をさせるかでしか表現しない。このワンパターンは今後のシリーズでも続いていくことになっていく。

 また、警視庁副総監拉致事件の犯人も非常に安っぽい描写しかされない。オチを言ってしまうとこの拉致事件は犯罪マニアの少年グループがネットを通じて「ゲーム」感覚で引き起こした事件となっている。その犯人の性格付けが、ドラマ第8話「さらば愛しき刑事」に登場した、警察の若手プロファイリングチームと同じく、とにかく相手を小馬鹿にする言動を繰り返すだけのキャラとなっている。これは偏見かもしれないが、「パソコンをやっているやつは大体こんな性格」という脚本家の意識が透けてくる部分だ。今後の作品でもパソコンを武器にする犯人やキャラはこんなノリで出てくる。家や職場にパソコンがあるのが当たり前になった2000年代に入ってからも、だ。

 それでも同作が一応面白さを維持しているのは、テレビの特別編で未回収だった部分を回収するという緊張感があったからだ。ドラマのレギュラー放送時に青島との身分を超えた信頼関係を強調されていた室井慎次警視正(柳葉敏郎)が、管理官から参事官に昇格してからの誤解や、わだかまりの解消。さらに、恩田すみれ巡査部長(深津絵里)が辞職するのか否かの答えがこの作品では出る。

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