金正恩氏が「脱北美女」の奪還をねらっている (1/2ページ)
北朝鮮の対韓国宣伝メディアである「わが民族同士TV」は先月の23日、いったんは脱北に成功して韓国に入国しながら、再び北朝鮮に戻った男女6人のトークショーを公開した。
このうち、36歳と63歳、29歳の男女3人は、こうした場に初めて登場した人々である。韓国当局はこれまでに、北朝鮮に戻った脱北者が16人いることを確認していたが、新たに3人増えて計19人となった。
人気爆発の美女もトークショーで司会者により「1年前に祖国に帰って来た」と紹介された3人は、韓国での生活について「絶望の奈落」「変態的な獣のような社会」だったと非難。他の出演者らも口々に、韓国での「蔑視と差別」について語った。
先月をもって3万人を超えた韓国在住の脱北者は、多くが新たな環境に適応できず、あるいは韓国の行政上の対応の遅れもあって、苦しい生活環境にあることが知られている。
脱北者の中には、中朝国境のブローカーを通じて秘密裏に、故郷の家族に仕送りをする人も少なくない。ところが韓国の人権団体の調査によれば、ごく少数ながら、北朝鮮の身内から仕送りを受けている脱北者すらいる。そうした人々の中から、「帰った方がマシだ」と考える人が出たとしても、驚くには当たらないだろう。
その一方、脱北した人々に接近し、「素直に帰ってくれば罪は見逃す。しかし言うことを聞かなければ家族がどうなるか分からない」と脅迫する、北朝鮮による工作活動があるのも確かだ。そのようにして連れ戻し、今回のような番組で証言させ、国際社会からの人権権侵害追及に対する防波堤にするのである。
いま、そのような活動の最大のターゲットとなっているのは、まず間違いなく、4月に集団脱北した北朝鮮レストランの女性従業員たちだろう。彼女らの集団脱北は、北朝鮮当局に大きな動揺を与えた。そのため金正恩体制は、彼女らが韓国当局により「拉致された」との主張を、今に至るも続けている。
そのような主張に、耳を貸す人は少ない。しかし、彼女たちのうちの1人でも北朝鮮に帰国させ、「私は韓国当局に拉致されました」と証言させることが出来れば、集団脱北から受けたダメージを少なからず相殺できるだろう。