金正恩氏が喜ぶトランプ氏の「不法移民追放」公言 (3/3ページ)
ホン弁護士によると、難民資格を得ていない脱北者のうち、不法移民はごく少数で、ほとんどが難民申請の審査期間中の人だ。その期間中は、合法的な滞在が認められている。
しかし、難民資格を得た人との格差そのものが、人々を不安にする。難民資格を得た人は、半年間にわたり毎月数百ドルの生活支援金や、フードクーポンを受け取ることができる。また、1年経てば永住権が、5年経てば市民権が取得できる。
ホン弁護士とジュディ・ウッド弁護士は、数年待っても審査が終わらず、法的に不安定な立場に立たされている脱北者のために、議会に数千回嘆願書を出し、デモも行っている。難民認定がすぐには得られなくても、審査期間が延長されるだけでも、意味ある進展、つまり認められるまでの時間稼ぎになると語るホン氏。今まで、韓国を経て米国にやって来た脱北者15人の難民資格を勝ち取ったが、まだ10数人が審査状態に置かれている。
UNHCRによると、全世界で難民資格を得た脱北者は2015年末で1103人、審査中の人を含めると1333人だ。
既に脱北した彼らが「不法移民」として米国から追放されれば、普通に考えれば韓国に強制送還されるだろう。しかし、北朝鮮から「米国は我々の公民を誘引・拉致した。自国民を返せ!」という主張が出てきてもおかしくはない。もちろん、米在住脱北者らが追放され、いきなり北朝鮮に強制送還されることはありえない。脱北者が送還されれば、せい惨な人権侵害が常態化している代表的な施設の一つに送られる。こうした事実は既に知られており、国際社会も黙ってはいないだろう。
それでも、米国在住の脱北者たちが厳しい環境にさらされることを喜ぶ人物がいるかもしれない。北朝鮮の金正恩党委員長だ。なにしろ脱北者は北朝鮮を捨てた最大の「裏切り者」だからだ。正恩氏が、トランプ氏の不法移民追放公言に米国在住脱北者が怯えている状況を知れば、溜飲を下げるかもしれない。