不倫は自分の甘さや弱さから始まる……『愛人たち』 (2/3ページ)
五月は彼らと意気投合し、それぞれの不倫のカタチを目の当たりにしていくことになります。
もう最後の最後まで重たくて苦しい話なのですが、その理由は「ザ・不倫ハウス」の住人たちの自問自答です。自分が不倫を続けている理由、相手を許してしまう心理が延々と描かれます。これが真理を突いていてとても考えさせられます。
不倫を含め恋愛に悩んでいる人は、『愛人たち』を読んでみると、いろいろ発見があることでしょう。
■五月に学ぶ「不倫で幸せになれない理由」三枝の愛人になって五月が幸せだったのは、最初の一瞬だけ。 携帯電話や留守電のない時代なので、自宅にいないと連絡がつきません。いつやってくるかわからない三枝を待つだけの日々になっていきます。「今日は来なかったから明日は来るはず」と料理を作って待っていても、自宅から「原稿が終わらないので待っていただけますか」などと編集者宛てにかけたように装った偽装電話がかかってきて来なかったり。
三枝は、五月に対して来る来る言って来ない「来る来る詐欺」の上に、「離婚するする詐欺」「結婚するする詐欺」を連発します。一方五月は、三枝に言いたいことは山ほどあるのに、「こんなことを言ったら嫌われてしまう」と思い、言えません。「自分は三枝の癒やしにならなければいけない」と思うからです。
そして五月は妊娠。三枝に「堕ろしてくれ」と言われます。しかし同時期に妻も妊娠、その幸せそうな姿に、五月の怒りは爆発します。「なんで私だけがこらえてなくちゃいけないのよ」「なんで私だけが堕ろさなきゃいけないのよ! 奥さんにも『堕ろせ』っていいなさいよ」
もう、どう考えても幸せな恋じゃないです。 どうして五月は三枝と別れないのでしょう。まあそもそも不倫が始まらなければ単行本1巻にもならない短編にしかならないし、子どもを堕ろしたところで別れを決めていたら2巻で終了です。5巻分、たっぷり五月は悩み抜いて、とある境地にたどり着きます。
ラストは少女漫画王道の展開ですが、実際にたどり着ける人は少数かもしれないですね。作品からは、里中先生からのメッセージがビンビン伝わってきます。