子どもたちが未来の選択肢を奪われる国 ホンジュラスと若者ギャング団「マラス」の今 (2/4ページ)
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繰り返すが、工藤さんは学生時代からラテンアメリカの貧困問題を取材し、フリーのジャーナリストとして活動してきた。メキシコやフィリピンのストリートチルドレンに詳しく、彼らを支援するNGO「ストリートチルドレンを考える会」の共同代表も務める。
そんな工藤さんが執筆し、第14回開高健ノンフィクション賞を受賞した『マラス 暴力に支配される少年たち』(集英社刊)は、ホンジュラスの若者ギャング団「マラス」についてのルポルタージュである。
「マラス」というワードを検索にかければ、顔中に入れ墨を入れた若者たちの写真を見ることができるはずだ。ラテンアメリカではメキシコを主なフィールドにしてきた工藤さんは、どうしてホンジュラスの凶悪少年組織を取材しようと思ったのか?
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――本作はホンジュラスが舞台です。もともとメキシコを活動拠点にしていた工藤さんはどうしてこの国に行ったのですか?工藤:中米諸国の人たちが不法移民として、メキシコを通過して米国へ向かうという現象は昔からあったのですが、最近その中に未成年が増えている話を聞いたんですね。2014年にはニュースにもなっています。
私は、パートナーでフォトジャーナリストの篠田有史ら仲間とNGOを運営し、メキシコの路上で暮らす子どもたちを支援する現地NGOを応援してきたのですが、どうやら最近グアテマラやエルサルバドル、ホンジュラスからやってきた子ども、しかもギャングから逃げてきた子が増えている、と。
中米で力をふるっているマラスというギャング団は以前から知ってはいたし、ギャングに入る若者がいることも知っていたけれど、実際に会ったことがありませんでした。
でも、これだけ子どもたちが逃げてきているということは、よほど大きな問題があるのではないか。そして、マラスとはどういう組織なのか、どんな若者たちがそこにいるのかということが、知りたくなりました。
――それでホンジュラスに取材に向かったんですね。工藤:そうです。