子どもたちが未来の選択肢を奪われる国 ホンジュラスと若者ギャング団「マラス」の今 (4/4ページ)
彼は頭も運も良い子で、難民認定を受けることもできたし、職業訓練も修了することができました。でも、彼自身は自分が故郷にいたときに、そういう支援や選択肢があるとは思えなかったと言っています。
この本に出てくるサン・ペドロ・スーラの教会を、アンドレスは知っています。また、その教会がやっている若者支援センターにも実は行ったことがあるというんですが、長続きしなかったそうです。

工藤:というよりは、教会の周囲を支配する若者ギャング団が変わってしまうからです。自分の属するグループの縄張りであるうちは行けるけど、別のグループになると行けなくなる。本人に行く気はあっても、行けなくなってしまうんです。
彼は、「何度か行ったことがあるけど、続けられなかったんだ」と言っていて、教会に助けてくれる人がいることは知っていました。けれど、それ以上にマラスの存在が大きかったんです。子どもたちからすれば、教会の人たちは本当にどんな場合でも自分を助けてくれるか、確信が持てないのだと思います。
だから、アンドレスはメキシコにきて、初めて本気で自分を助けてくれる人がいるんだということに気付いたし、自分にも勉強や仕事ができるんだと思ったと言っていましたね。
――では、他のマラスにいる子どもたちも、きっかけを与えてあげればアンドレスのようになれるのでしょうか。工藤:アンドレスの場合、努力が続けられているということが素晴らしいんですよね。マラスのメンバーにせよ、路上に暮らしている子どもにせよ、目標を持って前に進むという経験が少なく、単純に続けられない子もいます。
それは意志の弱さというより、そういう習慣がなく、自信が持てなかったり、貧困層出身というだけで差別を受けたりするからなんですね。そういったことを乗り越える意思とサポートがないと、前へ進めない。だからアンドレスはとてもえらいんですよ。
(後編はこちらから)