子どもたちが未来の選択肢を奪われる国 ホンジュラスと若者ギャング団「マラス」の今 (3/4ページ)
マラスにいる子どもたちも、そこから逃げようとする子どもたちも、ホンジュラスに住んでいる普通の子どもたちも、まったく違うとは思えないんです。
メキシコの路上に暮らす子どもたちも、スラムに住んでいる普通の子たちとまったく違うわけではなくて、たまたま家庭環境が悪くて虐待されていたとか、暴力を振るわれていたとか、問題から逃れるために路上にきた子たちです。
だから、マラスの子たちも、検索で出てくるようないかつい刺青のイメージほど特別な存在ではないように思えたんですね。
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『マラス 暴力に支配される少年たち』には、若者ギャング団「マラス」にかつて所属し、組織から抜け出した人から、今も属している人まで、さまざまな人が登場し、自身のこれまでとマラスについて証言する。

本書を読んでいくと、ある一つのことが見えてくる。マラスの少年たちには、未来に対する選択肢がほとんどない。いや、むしろ別の方向に目を向けられない環境ができてしまっているのだ。
工藤さんが取材した青年の一人・アンドレスは、マラスを抜け出すために祖国からの脱出を計画、大冒険をした末に、メキシコで移民局に保護され、難民認定を受けられたという幸運の持ち主だ。そんな彼もマラスにいた頃は「周囲が見えなかった」と述べる。
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――ホンジュラスからメキシコに逃げてきたアンドレスという青年は、とても賢い印象をうけます。今では勉強をして一流ホテルのスタッフとして働いているそうですが、周囲に目を向けることで社会人としてやっていける子はたくさんいそうですね。工藤:そうなんですよね。彼も正直な気持ちを吐露する中で、選択肢がなかったと言っています。彼の故郷であるサン・ペドロ・スーラでは、マラスやその他のギャング以外の世界が全く見えなかった、と。