秋津壽男“どっち?”の健康学「知っておきたい有酸素運動の基礎知識。息を止める無酸素運動は一般人に必要なし」 (2/2ページ)

アサ芸プラス

 相撲では、立ち合いからぶちかまして突っ張り合いをしている間は無酸素運動ですが、四つに組むとぜぇぜぇと息が入り、有酸素運動に変わります。競馬の騎手も直線で馬を追っている間は息をしていないそうで、この間は無酸素運動に切り替わります。

 瞬発力を要するスポーツで記録を伸ばそうとする際の「一瞬の力」が無酸素運動で、トレーニングの間は有酸素運動となります。なぜなら有酸素で筋肉にエネルギーを与えなければトレーニングは続かないからです。

 ダイエット効果のある筋力トレーニングで考えても、1回筋肉を壊して再構築する時の筋肉が強くなります。そう考えると、筋トレの効果が表れるのは、1回ダメージを受けて筋肉が痛くなってから、となります。限界が来てからの2段階・3段階先の頑張りで効果が表れるわけですが、無酸素運動ではここまで続かないでしょう。腕立て伏せでも、無酸素でできるのはせいぜい30回ぐらいです。

 つまり、フルパワーを要する運動が無酸素運動であり、健康のための運動には適していないと言えます。日常生活で考えても、無酸素運動となるのは、例えば発車間際の電車に駆け込み乗車をする時ぐらいで、無酸素運動をする機会などほぼありませんし、トレーニングの必要もないのです。

■プロフィール 秋津壽男(あきつ・としお) 1954年和歌山県生まれ。大阪大学工学部を卒業後、再び大学受験をして和歌山県立医科大学医学部に入学。卒業後、循環器内科に入局し、心臓カテーテル、ドップラー心エコーなどを学ぶ。その後、品川区戸越に秋津医院を開業。

「秋津壽男“どっち?”の健康学「知っておきたい有酸素運動の基礎知識。息を止める無酸素運動は一般人に必要なし」」のページです。デイリーニュースオンラインは、週刊アサヒ芸能 2016年 12/15号無酸素運動“どっち?”の健康学秋津壽男有酸素運動社会などの最新ニュースを毎日配信しています。
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