秋津壽男“どっち?”の健康学「知っておきたい有酸素運動の基礎知識。息を止める無酸素運動は一般人に必要なし」 (1/2ページ)

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秋津壽男“どっち?”の健康学「知っておきたい有酸素運動の基礎知識。息を止める無酸素運動は一般人に必要なし」

 忘年会シーズンがやってきました。この時期、平日に食べすぎたり飲みすぎた分の過剰カロリーを、土日の運動で減らそうと考える人もいるでしょう。あるいは健康のために運動をする人もいると思われます。

 さて、一般的な運動には大きく分けて「有酸素運動」と「無酸素運動」がありますが、健康のための運動として適しているのはどちらでしょうか。

 有酸素運動とは、文字どおり酸素を必要とする運動で、体内に取り込んだ酸素により糖質や脂肪を燃焼させてエネルギーに変えるものです。ウオーキングやジョギング、ランニング、サイクリング、水泳などが代表的な有酸素運動であり、いずれも下半身を使うため老化防止にも役立ちます。

 一方、無酸素運動とは「酸素を必要としない運動」です。言いかえれば瞬発力運動で「火事場のバカ力」とも言えますが、体のエネルギーの使い方としては効率が悪いと言えるでしょう。代表的なのは100メートルダッシュで、100メートルを走っている間は息をしていません。

 アスリートは200メートル走でも息をしませんが、200メートルを過ぎたあたりで息をするため、有酸素運動に切り替わります。つまり、短距離走でいえば200メートル走は無酸素運動、400メートル走は有酸素運動となります。

 オリンピックを観ていると、100メートル走で金メダルを取る人は200メートルでも金メダルを取れますが、400メートル走では金メダルを取れないし、エントリーすらしていません。世界を代表するランナーのウサイン・ボルトを見ても、北京、ロンドン、リオと3大会連続で100メートルと200メートルの金メダル走者に輝き、100メートル9秒58、200メートル19秒19の世界記録保持者です。

 しかし、400メートルのタイムは45秒28で、世界記録の43秒03(ウェイド・バンニーキルク)に2秒以上も及びません。これは、無酸素運動が有酸素運動に切り替わることでパフォーマンスが落ちるためです。400メートルや800メートルは、有酸素で上手に走るテクニックの持ち主が金メダルに輝くのです。

 人間が息を止められる限界は1分前後で、動きが活発となる短距離走では22、23秒あたりが無酸素運動の限界点となります。

「秋津壽男“どっち?”の健康学「知っておきたい有酸素運動の基礎知識。息を止める無酸素運動は一般人に必要なし」」のページです。デイリーニュースオンラインは、週刊アサヒ芸能 2016年 12/15号無酸素運動“どっち?”の健康学秋津壽男有酸素運動社会などの最新ニュースを毎日配信しています。
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