アパレル業界牽引役に明暗 「しまむら」が「ユニクロ」蹴散らしV字回復の理由 (2/2ページ)

週刊実話


 「しまむら」企画室担当者は、こう言う。
 「デフレでモノが売れないと言っても、当時、私たちはそうは捉えていませんでした。消費者は不要なものは買わないが、本当に必要なもの、いいものは多少高くても売れると考えていました。そして当時、国内であるようでなかったのがデニムの裏起毛商品。デニムはお洒落だが、冬は冷たいし寒い。だから、中にタイツを履いて着用している人も多かった。それを1枚で冬もすごせ、しかもファッショナブル。高品質にもこだわりました」

 「しまむら」のV字回復は確かに『裏地あったかパンツ』の効果が大きい。しかし、その商品が生み出された背景には経営方針のダイナミックな軌道修正があったからだともいう。
 経営コンサルタントが指摘する。
 「以前の『しまむら』は、少量多品種での低価格販売。売り切れご免で追加生産しないモデルで急成長した。しかし、単に低価格のみでは消費者の消費マインドが動かなくなり、加えて店舗数はグループで2000店を突破し、商品部長がバイヤーと商品管理コントローラー両方を1人で管轄していたため、増え続ける店舗に目が行き届かなくなった。それが、企業活力にダメージを与えていたのです」

 そこで、機構改革で部長の機能を分離し、さらにIT活用の強化で在庫管理や発注の自動化を進めた。そのため、今では店舗間の商品移送指示の7、8割をコンピューターが出せるようになり、企業全体のパワーアップが図られたという。
 事務IT化で余力の出たスタッフは「売れそうなコア商品開発」に尽力し、子供服、ベビー用品、シルバー層などへのアプローチも強める。
 「これに『ユニクロ』や同業他社も刺激を受けているはずです。『ユニクロ』などはかつて、フリースやヒートテックなどのオリジナル商品開発で急成長した。他のアパレルも今後はオリジナリティーがポイント。そのことで第二、第三の『しまむら』誕生が衣料品業界全体の底上げになれば、日本経済も上昇につながります」(アパレル関係者)

 しかし、「しまむら」などには新たな心配の種もある。ここにきてのトランプ新政権への動きで、再び円安にぶれ始めていることだ。海外生産が主の衣料品業界だけに、円安は大ダメージを受けやすい。こうした海外動向を見ながらの衣料品サバイバル競争は、今後、さらに激しさを増しそうだ。
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