世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第201回 亡国の全農解体構想 (2/3ページ)
ビジネスにおいて、委託販売を選択するか、全量買い取りを選択するかは事業体の勝手だ。国営企業ではあるまいし、政府が決めていいはずがない。
規制改革推進会議の提言は、民間のビジネスに対する不当な介入である。しかも提言には、全農の「改革」が進まない場合、「第二全農」を作るという構想までもが含まれていた。
要するに、商社ビジネスを廃止させ、農産物について全量買い取りを強制することで全農の経営を悪化させ、
「全農グレインを売りに出させる」
ことが、規制改革推進会議の目的であるとしか思えないのである。
実際に全量買い取りを強いられ、商社ビジネスを廃止された場合、全農の経営は急激に悪化する。結果、全農は日本の食糧安全保障の「要中の要」である全農グレインを手放さざるを得なくなるだろう。
すると、アメリカから日本への穀物の輸出において、全農グレインを目の敵にしている世界最大の穀物会社カーギルが、狂喜して株式を買い取ることになる。全農は株式会社ではないため買収は不可能だが、全農グレインは株式会社だ。
全農グレインは、全農の子会社としてアメリカにおいて「IPハンドリング」を実施している。アメリカの生産者と直接契約し、遺伝子組み換え種子の使用の有無等を、穀物の「一粒単位」で実態を管理しているのだ。
全農や全農グレインがIPハンドリングを実施するため、カーギルもそれをやらなければならない。IPハンドリングは、もちろんコスト高要因で利益を圧迫する。さらに全農は株式会社ではなく、協同組合連合会だ。「適正利益」は取るのは当然だが、あこぎな利益は乗せない。すると、カーギルもまた、「適正利益」しか乗せられないということになってしまう。
カーギルなどの穀物メジャーにとって、全農は自分たちの利益を圧迫する敵なのだ。全農グレインを全農が売りに出せば、その日のうちにカーギルの手に落ちることになる。穀物流通の要の企業を外資系に買われ、わが国の食糧安全保障が維持できるだろうか。
さて、11月29日。安倍政権は農林水産業・地域の活力創造本部を首相官邸で開き、全農の組織刷新などを盛り込んだ農業改革方針を決定した。