エイベックス松浦社長が労基法で是正勧告も「時代にあわない」と反論して物議|やまもといちろうコラム (2/3ページ)

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■求められる独自能力

 一方で、松浦さんはFacebook上で、日本の税金の高さを理由にシンガポールや海外移住の話をしておられます。富裕層課税の話をしておいて、日本の労働行政がおかしい、納得いかないと仰られても「そうですか」という感じになりますでしょうか。

松浦勝人氏facebook

 そのうえで、昨今のブラック企業対策はかなり積極的に進んでいるようで、先日も大手広告代理店の電通や、朝日新聞社など、大手メディア関連企業にどんどん入っています。ブラック企業対策はまず名の通った大手からしっかりと対応して、一罰百戒も目指して頑張っているようにも見受けられます。

電通に労働局が立ち入り 長時間労働、全社で常態化疑い:朝日新聞デジタル
労基署、朝日新聞社に是正勧告:朝日新聞デジタル

 電通にいたっては、過労で自殺してしまった女性社員が話題になったのでどうしても入らざるを得ないのでしょうが、その当の上司がデジタル方面で偉くなっていたりすると、やはりなかなかモヤモヤするものを感じます。

 仕事に前向きなのはどこの企業も頑張っているのでしょうが、いまやデスクに張り付いて調整事に追われる仕事を長時間やっても、必ずしも収益に結びつかず生産性がむしろ下がる傾向が見えているわけです。とりわけ、ホワイトカラーという仕事は、単純に時間当たりの単価で仕事をするものでは本来なく、長くオフィスにいるから仕事量が大きいというわけではありません。それは、経済全体が右肩上がりで、どこからか仕事がやってきて、それを右から左に流していれば利益になった時代の話だろうと思うわけです。

 むしろ、学校も家庭も職場も「こうすれば、お前は人生で勝てるんだよ」という方程式を教えてくれることがなくなったいま、より考えて行動すること、好きで没頭することで他の人と違う何かを創り上げられる能力を求められています。仕事に前向きで、遣り甲斐と集中力がビジネスパーソンを育てるのは事実としても、生産的な何かに自分の時間を使うことが会社としてどれだけ許されているのかということのほうが本来は大事です。言い換えれば、誰か別の人に置き換えられない何かをできる人間にならなければ、会社から良い評価をもらうために長時間労働も土日出社も厭わず頑張らなければならない仕組みに抗えない、ということでもあります。

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