高級ブランド生地「ハリスツイード」が格安品に使われている理由

まいじつ

(C)Shutterstock
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『ハリスツイード』という高級なジャケットやコート、スーツなどに使われている生地がある。スコットランド北西部のハリス&ルイス島産の羊毛をすべて手で織り上げた、ブランド品だ。

ところが、2年ほど前から、バッグの外側ポケットや靴のかかと、ニット帽の額など、ごく一部だけにこの生地を使い、ロゴを貼った数千円の商品が大手衣料チェーンのしまむらやイトーヨーカ堂、イオンなどで出回った。ダイソーでは、540円の眼鏡ケースや648円の小物入れなどを地域限定で販売している。

なぜこのような事態になっているのか。

「ハリスツイード協会が設立100周年を迎えた2010年に、日本国内でもさまざまな新商品が出て人気を集めました。その後、より安いものということで、生地を部分的に使った小物などにも人気が分散していったのです」(アパレル関連のライター)

これまでは、部分的にしか使わないことが想定されておらず、同協会は日本向けに“50%ルール”を打ち出した。それは、雑貨類に関して、表面の半分にハリスツイードの生地を使っているものだけがロゴ(オーブマーク)を貼ってもよいというものだ。しかし、50%以下なのにロゴをはっきりと見せて、消費者を混乱させる商品が増えてきたのが問題になっているのだ。

高級生地が格安雑貨になってしまったことに危機感を募らせた協会側も、ようやく対応に乗り出した。今年2月下旬にはローナ・マコーレー会長が来日し、英国大使館やスコットランド国際開発庁などと現状把握を行い、対応を協議する見通しだ。

協会は今回の出来事に対し、「これまで日本には協会の出先機関はなく、抜本策を講じていませんでした。今後はブランド管理担当者を置き、商標誤用に対して措置を講じていくつもりです」とコメントしている。

かつて、捨てられた『ラコステ』のシャツのロゴだけを切り取り、安物のポロシャツに張って悦に入っている男の風刺漫画があった。このご時世でも、素材のよさよりロゴ目当てで購入する人が後を絶たないようだ。

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(C)Katarina Tauber / Shutterstock

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