金正男氏を死に追いやった「暴露スクープ」の中身 (1/2ページ)

デイリーNKジャパン

金正男氏を死に追いやった「暴露スクープ」の中身

北朝鮮の故金正日総書記の長男・金正男(キム・ジョンナム)氏が13日、マレーシアで殺害された。突然の事件にも関わらず、韓国メディアは異例の早さで対応。死因も犯人の招待も明らかになっていない状況のなか、さっそく北朝鮮の偵察総局による「暗殺」と半ば断定した上での強い論調が目立つ。偵察総局とは、北朝鮮によるテロやサイバー攻撃を総括する機関で、2009年に党と軍の特殊作戦組織を統合して設立された。

大方の見方の通り、正男氏が北朝鮮当局により殺されたと仮定した場合、最大の疑問は「なぜこの時期に殺されたのか」となる。2月16日の故金正日総書記の誕生日「光明星節」を控え様々な憶測があるが、韓国でまことしやかに囁かれているのが「金正男亡命説」だ。

韓国の有力週刊誌・週刊京郷は11日、スクープ記事を放った。2002年に北朝鮮を訪問した朴槿恵議員(当時)が、訪朝後数年間にわたり北朝鮮と連絡を取っていた際の「メッセンジャー」こそが正男氏だというのだ。

朴槿恵氏は当時、2002年から2012年まで「ヨーロッパ・コリア財団」の理事を務め、北朝鮮の大学生を欧州へと留学させたり、普天堡(ポチョンボ)電子楽団の来韓講演などを企画したりしていた。こうした事業を進める上での北朝鮮とのやり取りに、北京にいた正男氏が関わっていたという。手紙は同財団の関係者が北京で正男氏に渡し、そこから張成沢(チャン・ソンテク、金正日氏の妹婿)氏、金正日総書記へと伝わった。

週刊京郷が入手した当時のEメールには興味深い内容が多い。例えば2005年12月1日に正男氏が財団宛てに送ったメールには「来年2月23日が叔父(張成沢)の還暦なので、韓服(チョゴリ)を仕立てたい」とある。これに財団側は「詳しい体のサイズが必要」と返すと正男氏はその内容を送ってきている。さらには韓国国内の有名占い師に叔父の運勢占いを頼んだ内容もある。厄払いのお札まで北京経由で送ったという。

2012年に亡命を打診

この記事の極めつけは、2012年の大統領選挙(与党の朴槿恵候補、野党の文在寅候補が出馬し朴候補が当選)の直前に、金正男氏が亡命しようとしていた具体的な状況が暴露されたことだ。

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