話題の1冊 著者インタビュー 高井尚之 『なぜ、コメダ珈琲店はいつも行列なのか?』 プレジデント社 1,300円(本体価格)

週刊実話

 ――今や出店数の伸びがスターバックスを上回るコメダ珈琲店ですが、その躍進の理由は何だと思いますか?

 高井 “ご近所の喫茶店”であることが最も大きいでしょうね。コメダ発祥の地である名古屋市は、総務省の調査でも「日本一喫茶代にお金を使う」都市です。朝はコーヒーを頼めば無料のトーストやゆで卵がつく「モーニングサービス」も有名ですよね。
 名古屋圏の人は、お客さんが来ると「コーヒーでも飲みに行こうか」と連れ出し、自宅の居間や職場の応接室代わりに喫茶店を利用します。そうした土地柄で鍛えられたサービスが全国各地で受け入れられています。気軽に立ち寄れるご近所感が、打ち合わせ場所や地域のしゃべり場として人気なんですね。カフェを選ぶ行為は「消費者心理の象徴」だと思います。その理由は、ポケットに小銭があれば利用でき、今日の自分に使い勝手のよい店に(無意識で)行くからです。その消費者心理が、スターバックス系の店からコメダ系の店に移りつつあると感じています。

 ――「昭和型喫茶店」がウケる背景には、何があるのでしょうか?

 高井 私は「セルフカフェ疲れ」、「スタイリッシュ疲れ」と説明しています。座席と座席の間が狭くて、混んでくると相席を求められるような店では落ち着けないと思う人が増えたこと。店の雰囲気や店員がスタイリッシュで、分かりにくいメニューの店よりも、気軽に安心して注文できる方がいいと思う人の存在です。こうした一定層のお客の受け皿として、コメダ珈琲店のような「昭和型喫茶店」が支持されていると思います。この傾向はしばらく続くかもしれません。長い目で見れば、ハイセンスな店よりも普段使いの店の方が強いからです。

 ――オススメのメニューやコメダの楽しみ方を教えてください。

 高井 最近は選べるモーニングとして、トーストに名古屋名物・小倉あんや、玉子ペーストが付くメニューもあります。朝11時までは全ドリンクに無料で付くのでお得です。また、コメダ名物「シロノワール」もオススメですし、長靴型グラスのクリームソーダは、はみ出すほどソフトクリームがのっています。店に置いてある新聞・雑誌は読み放題なので、複数読めば飲食代のモトが取れる。10代まで当地ですごした私を含めて、愛知県の男性客はこれを実践してきました(笑)。たまにはスマホではなく、新聞・雑誌を読みながら飲食を味わってみてはいかがでしょうか。
(聞き手/程原ケン)

高井尚之(たかい・なおゆき)
1962年名古屋市生まれ。経済ジャーナリスト・経営コンサルタント。(株)日本実業出版の編集者、花王情報作成部・企画ライターを経て'04年から現職。

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