エレベーターガールや交通整理も?”日本独自の職業”を中国人はどう見たか (2/2ページ)

デイリーニュースオンライン

 もし前述のような職業が全て消滅しても、社会に大きな支障をきたさないかもしれません。しかし、これらの大半はアルバイトでもまかなえるもので、将来に大きな希望を抱く若者たちに仕事を与えるチャンスにもなります。確かに余剰人員をカットすれば、企業の利益は向上し従業員一人当たりの賃金はアップするかもしれませんが、職種が多いということはその分様々な人々に雇用のチャンスを与える結果になります。

 エレベーターガールや工事現場の交通整理は「助け合い」を美徳とする日本ならではの職業といえるでしょう。さらに一般企業のオフィスにエレベーターガールを配置すれば、「会社が儲かっている」という高級感、工事現場に整理員を配置すれば安全性がアピールできるという付加価値が発生します。

 1760年代、清朝時代の中国では鶏が卵を産みすぎて売り上げが落ちるという時期がありました。ある時、一人の画家が鶏の飼い主と相談し、卵を売る店舗の前に画家が描いた卵の絵を飾ることを決定しました。

すると、美しい絵に多くの人が興味を持ち、結果、卵の売り上げが大幅にアップしたのです。一見無駄に見える行為が付加価値を生み出し、結果大きな利益をもたらしました。なお、今回の記事を書く際、日本にも「土用の丑の日」という上記の話と似たような話があることを編集の方から伺いました。

『東洋経済』の記事をてがけたデービッド・アトキンソン氏は、著作『国宝消滅』(東洋経済新報社)の中で、主要文化財の平均入館料は日本が593円であることに対し海外が1891円であることに触れ、日本のサービス業の質の低さを訴えていましたが、入館料が安ければ学生や外国人、貧しい人々など、より多くの人々が文化財に触れることが可能となります。アトキンソン氏の意見は単なる経済第一主義です。

 一見無駄に見える職業は、その分データでは計れない付加価値を発生させます。低価格の回転寿司店は効率目的で機械に寿司を握らせることがありますが、これよりも熟練の寿司職人が長年蓄えた技術を使って握った寿司の方が、はるかに満足度が高いものです。僕は日本のサービス業が、日本独自の文化を理解できない合理主義の外国人の意見に左右されないことを願います。

著者プロフィール

漫画家

孫向文

中華人民共和国浙江省杭州出身、漢族の33歳。20代半ばで中国の漫画賞を受賞し、プロ漫画家に。その傍ら、独学で日本語を学び、日本の某漫画誌の新人賞も受賞する。新刊書籍『中国が絶対に日本に勝てない理由』(扶桑社)が発売中。

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