トップリーグ最小WTBを支えた出会い NEC首藤甲子郎、現役生活に幕。 (2/2ページ)

ラグビーリパブリック

 だがNEC入社後は、一転して苦境に。実戦練習で対面を何度抜き去っても、レギュラー定着は難しかった。チームカラーでもあるディフェンスの強さが足りない。不完全燃焼の思いを抱えていた先に、また心に響く出会いがあった。

 2014年、リオ五輪を目指す7人制代表に選ばれた。レンタルのジャージーに、古びた用具を使い、桑水流裕策、坂井克行らセブンズで長く戦ってきた選手が、愚直なまでの練習を続けていた。「恵まれない環境や過密日程でも、プライドを持って真摯に戦う姿に刺激を受けた」。首藤自身の五輪代表入りはならなかったが、彼らの努力が報われた五輪ベスト4の快挙は、自分のことのようにうれしかった。

 その代表招集から、2年ほどで引退を決断。けがや脳振とうが続き、「100パーセントの心でグラウンドに立てなくなった」ことが理由の一つだ。それでも、常に練習には全力で取り組み、後輩に助言を送り、チームのために尽くした。7人制合宿で感じた衝動が、現役生活晩年の活力になった。

 今後は社業に専念しながら、新たな夢も思い描く。大学時代から契約していた個人トレーナーの竹田和正氏。今やJリーガーやサンウルブズにも「塾生」がいるその恩師の影響は大きく、首藤もラグビーに限らずアスリートと向き合うことに憧れを抱くようになった。そのための勉強も始めている。

 「これまでに出会った人たちがいなければ、自分はここにいない。それが全て。何よりも大事なものを手にできた」

 万感を胸に、次は無限に広がるフィールドを駆ける。そこにはきっと、また新しい出会いがある。

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