テレビ番組のおもしろさを支える影の立役者! 現役大学生放送作家・芝尾拓純さんインタビュー

学生の窓口

マスコミ業界は、就職したい業界として相変わらず学生に人気。就職希望企業ランキングでも必ず上位に入ってきます。そのため倍率もとても高く、テレビ局や制作会社でのアルバイトから内定を目指す人もいます。ところで、マスコミ業界を目指す学生の中には、放送作家や作家見習いとして、すでに番組作りに携わっている人もいることをご存知ですか? 「放送作家」という言葉を耳にしたことはあるけれど、いまいちなにをしているのかよく分からない……という人も多いのではないでしょうか。 そこで今回、放送作家かつ現役大学生の【芝尾拓純さん】に、放送作家の仕事と、授業との両立、そして、目指す将来について聞いてみました。



■ものすごく忙しい! 現役大学生放送作家の1週間とは?

――芝尾さんは大学に通いながら放送作家の仕事をされているとのことですが、まず、放送作家とはどんな仕事をしているのですか?

一般的には、番組の企画会議に参加してネタ案を出したり、台本を書いたりといった業務をします。私の場合、今は主にリサーチと、番組企画会議への参加、あと原稿の校正もしています。

リサーチというのは、番組を作る上で欠かせない仕事なんです。たとえば、芸能人の〇〇さんはこんな曲が好き、とか、最近人気の飲食店の特徴はどんなものでどんなロケができる、とか。こうした“ネタ"が、番組作りのベースになっているんですよ。調べたものは、図や写真を入れながら資料にして納品します。

企画会議は、テレビ局が募集するものに対して、今だったらどんな番組が視聴者に興味をもってもらえるかをみんなで考えたり、具体的に番組の流れをイメージしやすいよう企画書に落とし込んだり。常にどんな番組ができるかを考えていますね。

こういったことを、テレビだけでなく、インターネットテレビでもやったりします。それから、急ぎのニュース原稿に誤字脱字がないかをチェックするなどの業務もあり、仕事内容は本当にいろいろです。

――では、1週間のスケジュールを教えてもらえますか?

はい。今年度の前期は、週5日授業に行っていたのでこんな感じです。

日:終日リサーチや資料作成など。夜から朝まで原稿のチェック。
月:午前中は原稿チェック。そのまま午後の授業に参加し、夕方からリサーチや資料作成、視聴率分析など。
火:午前中はホームセンターでレジ打ちのアルバイト。午後から授業に参加し、夕方からリサーチなど。会議がある時は会議に参加。
水:1限から授業。終わり次第、リサーチや資料作成、企画会議へ参加。バレーボール部で運動することも。
木:午前中はアルバイト。午後は授業、夕方からリサーチや資料作成、企画会議など。
金:1限から授業。終わり次第、リサーチや会議へ参加。
土:終日リサーチや資料作成など。

授業以外の時間はだいたいリサーチや資料作りをしています。後期になったら大学に行く日が週2日になったので、仕事をもっと増やしました。あと、アルバイトも11月で退職しています。前期は、特番も合わせると5番組くらいに参加していましたが、今は冬休み期間なので、常に5~6番組、多いと7~8番組に携わっています。

■そもそもなぜ放送作家になろうと思ったのか?


――スケジュールを拝見すると、とても忙しいですよね。授業にも出て、アルバイトもしながら部活にも参加して、しっかり作家の仕事もされているなんて……寝ている時間はありますか?

前期はあまり寝られなかったですね(笑)。大学の宿題と、仕事の締め切りがかぶるときはつらいと感じます。3時間寝られれば良いほうだったかな。でも、慣れてくるとこのタイミングで寝るぞ! とスケジュールが立てられるようになるし、いつも何かしらやることがあって、メリハリが出てきますよ。

――そんなに忙しいのに、なぜ放送作家になろうと思ったのですか?

理由は2つあって、1つは早く稼ぎたかったから。大学生活は楽しいし、アルバイトも部活もやって、充実していたとは思うのですが、全体的に“のんびり"していたんです。そんな日々に物足りなさを感じてもいました。「このままのんびりして終わっちゃうぞ。」と感じていて、むしろみんながのんびりしている中だったら、自分がちょっとグッとアクセルを踏めば、周りを出し抜ける、と(笑)。だから、アルバイトではなく、早く社会人のように仕事をして、稼ぎたいと思ったんです。

もう1つの理由は、やっぱりテレビが好きだったからです。特にバラエティ番組ですね。父親が、よくダウンタウンの出ている番組を見ていたので、つられて私も見ていました。大学受験の勉強がうまくいかずに落ち込んでいた時期があるのですが、そんな時テレビを見ると、いつもにぎやかで明るくて楽しそうと思いました。とりわけダウンタウンには励まされたし、悲しくても元気をくれるのがテレビだったので、「きっと私と同じように落ち込んでいる人もいる、自分がそうだったように、そんな人を元気にしたい」と思ったからです。

それで、「テレビの仕事をするにはどうしたらいいんだろう?」とインターネットで調べていたところ、お笑いの養成所のバナー広告が出てきました。そこに、放送作家になるためのコースがあると書いてあったので、勉強しようと思って入学しました。

■大学生活+αをがんばると、一歩先に進める


――芝尾さんはいわゆる“ゆとり世代"だと思うのですが、お話を聞くと全くそんな感じがしませんね。ゆとり世代には珍しいタイプなのでは?

よく言われます(笑)。サークルや飲み会に参加して、大学生活を謳歌している人は多いと思います。だからこそ、ちょっとがんばってそれ以外のこともやれば、他の人より簡単に一歩先に進めますよね。締め切りが続いたり、あまり眠れなかったりと、大変なこともありますが、好きなことをやれる環境にいるので、満足しています。

――どんな時に、やりがいを感じますか?

自分が携わった番組名の、エゴサーチをするときです(笑)。SNSで「昨日の番組のあのネタがおもしろかった」と、自分が挙げたネタが書かれているとうれしいですね。あとは、友達が番組を見ていて、おもしろかったと言ってくれるときです。放送の翌日に大学へ行って話題になっていると、誇らしい気持ちになります。

テレビ番組はよい人間関係を築くツールだと思っています。テレビを見て、翌日学校や会社へ行って、「昨日の観た?」というように、会話のきっかけになるから、人と人を繋ぐことになりますよね。そんな様子を見ると、自分の仕事が、世の中のためになっているなぁと思います。

■目指す将来は「人のため」、そして「一生分稼ぐ!」

――今、大学3年生ということですが、そろそろまわりは就職活動を始める頃ですよね? 就職はしないのですか?

企業に就職するかどうかはまだわかりませんが、就活はします。やはり就活は今しかできないことだし、みんながやっていることをやらない理由もないですよね。テレビ局や制作会社、広告代理店が中心ですが、銀行など金融機関も受けてみたいです。せっかくなので、気になる会社や業界は全部見たいと思っています。企業に就職をするのか、このまま放送作家の仕事を続けるのか、決めなくてはならないときが来たら、その時に決断します。

――最後に、今後の目標を教えてください。

早く一生分を稼ぎたいです(笑)。放送作家としては駆け出しで見習いのようなものですが、がんばれるうちにがんばりたいし、がんばりが反映されるのでやりがいがあります。放送作家は自営業だし、自由な職業だからなんでも経験しておきたいですね。

あとは、「番組」という形になるかわかりませんが、自分の作ったものを海外でも展開したいです。素人を一夜で有名人にするようなオーディション番組がありますが、あの番組の構成はいろいろな国で展開されていて、いつもは政治的に対立してしまうような宗教や、差別を引き起こすような人種の違いも越えて、みんなが楽しみに観ているんですよ。これはすごいことだと思うんです。私もそんなものづくりをする人になって、世界中の人たちを楽しませたいと思っています。

【芝尾拓純(しばお・たくみ)さんプロフィール】
都内の大学に通う、現役大学生放送作家。経営学部で会計やマーケティングなどを勉強しており、現在大学3年生。そのかたわら、お笑いの養成所で1年間放送作家の勉強をする。修了後、放送作家として活躍中。

取材・文 長谷川鴨子

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