後ろも、押してくれる。サンウルブズ山本幸輝が観た後半34分のスクラム2本 (1/2ページ)
リザーブの山本幸輝は、グラウンドに出る前から自信を持っていた。最前列左で組むスクラムに関して、である。
「ベンチから相手のスクラムを観ていて、いつも通り自分のスクラムを組めれば、と」
2月25日、本拠地の東京・秩父宮ラグビー場。国際リーグのスーパーラグビーに日本から参戦するサンウルブズは、発足2シーズン目の開幕節で手を焼いていた。前年度王者のハリケーンズに相次ぎ失点し、結局は17-83と大敗する。
厳しい現実を突きつけられた格好だが、スクラムのまとまりには確かな手ごたえをつかんだ。最前列3名が強固にまとまり、それを後列の5選手が押し込む。長谷川慎スクラムコーチが唱える形を、反復練習で落とし込んでいた。
国内所属先のヤマハでも長谷川コーチの指導を受けていた山本は、この日、後半19分から登場。三上正貴に代わって、持ち場の左PRに入った。
「相手は上体が高いのですが、体重をかけて押せる体勢を作ろうとしているのが見えた。入る前に三上さんからは『相手(の右PRに入っていたマイク・カインガ)は内側に入ろうとしているけど、それを右肩で押さえれば問題ないよ』とアドバイスももらえた。そこを意識して…」
スクラムの優劣は、立ち上がりからイーブンを保った。お互いの運動量が落ち始めた終盤からは、サンウルブズが優勢に出る。
後半25分ごろ、自陣22メートルエリアで電車道を貫きスタンドを沸かせる。
そして34分、敵陣ゴール前でペナルティキックを得るやスクラムを選択。大きく手をたたき、山本が位置につく。
この時、ハリケーンズはLOのマイケル・ファティアロファを一時退場処分で欠いていた。その後の防御を見据えてか、6人でスクラムを組むこととなる。
山本たちがせり上がるのは、必然かもしれなかった。
プッシュ。腰を落としたまま、対面の上体を起こす。後方両側面を抑えるサンウルブズのFL陣も、背中を背筋と平行に保っていた。
8人の一体感は、相手のコラプシング(塊を故意に崩す反則)を誘うのだった。
ここから再度、スクラムを選択。サンウルブズは見せ場を作りたかったが、ハリケーンズも意地を示した。