「セルフメディケーション税制」を有効活用するポイント(第三回)~市販薬と処方箋どちらがお得? 実際に検証してみた~
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前回と前々回は、セルフメディケーション税制の概要と注意点や医療費控除との関係など、この制度を有効に活用する為にはどうしたら良いのかをお話してきました。
今回は、同じ薬を薬局で購入した場合と、医師の処方箋で購入した場合にどちらが有利なのかをファイナンシャルプランナーの筆者が検証してみました。
■市販薬と処方薬で検証
今回検証したのは、花粉症の薬の中でも、眠くならずに効果があるとして人気の花粉症薬アレグラで市販薬と処方薬を比較してみました。
【前提条件】
○医療費3割負担
○処方薬はアレグラのジェネリック(フェキソフェナジン塩酸塩錠)
眼科医の診察料 2,200円
薬局の調剤・薬剤料(112錠) 1,780円
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合計 3,980円
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1錠あたりの単価 3,980円÷112=35.54→36円
市販のアレグラの販売価格は、安いところでは1錠あたり50円で売っていますが、そちらと比較しても14円お得に購入できます。
これにセルフメディケーション税制による減税効果を考慮した場合、課税所得に応じて
実質単価がどのくらいになるのか計算したのが下表です。
※セルフメディケーションによる減税効果を考慮した実質負担額です。
購入金額-購入金額×所得税・住民税の税率計
これを見ますと、課税所得が330万円を超えると市販薬を購入した方が、実質負担額が少なくなります。
ただし、今回のケースでは、医療費負担を3割としていたり、セルフメディケーション税制の12,000円の足きりを考慮していないことなど、個別事情により330万円を超えた場合でも処方薬の方が有利になることもあります。
いかがでしたか?
今回は、市販薬を購入してセルフメディケーション税制を利用した場合と、処方薬を購入した場合を検証してみました。
同じ薬を購入する場合には、申告する方の所得によってセルフメディケーション税制を利用した方が有利になる場合と医師の処方薬の方が有利になる場合があるのがわかりました。
忙しくてなかなか病院に行けないなど、様々な事情がありますので、第一回と第二回も参考にしながら、自分はどの購入方法が一番お得なのか検証してはいかがでしょうか?
(葛西晶子)
【画像】
※ ふじよ / PIXTA(ピクスタ)