「兄殺し」の正当化を始めた金正恩氏の言い分 (1/2ページ)

デイリーNKジャパン

「兄殺し」の正当化を始めた金正恩氏の言い分

先月、マレーシアのクアラルンプールで起きた金正恩党委員長の異母兄・金正男(ム・ジョンナム)氏殺害事件について、北朝鮮当局は強力な情報統制を敷いて、国内での情報拡散を防ごうとしているが、口コミで平壌市内全域に急速に広がりつつあると、韓国の聯合ニュースが報じている。

情報に飢えている北朝鮮国民の口コミの伝播力には恐るべきもので、最高幹部のスキャンダルや失敗した反政府活動の顛末、大規模事故の修羅場などが、海外にまで詳細に伝わってくるほどだ。

逆に「興味」煽る

北朝鮮政府の内閣で勤務経験がある脱北者のハン氏は3日、平壌に住む親戚と電話で話した。聯合はどのようにして通話が可能になったかを明らかにしていないが、ハン氏か親戚のどちらかが第三国に出ていたものと思われる。

その電話での会話で親戚は「事件が起きてから10日で、平壌市民全員に知れ渡った」と述べた上で、「最近、市民を対象にした学習や政治講演会が増えた、いずれも国と革命の前で罪を犯せば肉親と言えども許してはならないという内容」だったと伝えた。

そして、その講演を聞いた人々は「金正恩が、兄である金正男氏の殺害命令を下したことを正当化しようとしている」とひそひそ話をしているという。

脱北者団体のNK知識人連帯の金興味光(キム・フングァン)代表も、出張で中国に出て来た平壌の知人と電話で話した内容として、「海外に駐在している貿易関係者を通じて、事件のことが平壌市民に伝わった」「話を聞いた人々は怒っている」と伝えた。

同氏によれば、平壌市民の中でも50〜60代の人々は、政治に関わっていない故金正日総書記の次男・金正哲(キム・ジョンチョル)氏のことは知らなくても、一時は後継者候補だった金正男氏のことはよく知っているとのことだ。

そうした人々は、首領様(金日成主席)の孫で、将軍様(金正日国防委員長)の長男である正男氏を殺すなどありえないと考えているというのだ。

当局は、金正男氏殺害事件の情報が拡散しないよう、平壌以外でも政治講演会を開いているが、情報の広がりを抑えきれていないようだ。

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