クックパッド社に”ちきりん”が社外取締役就任で広がる混迷|やまもといちろうコラム (2/2ページ)

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■”ちきりん”を抜擢したクックパッド社の思惑

 もちろん、単純にネタとして面白いからお家騒動の顛末として取り上げているという点では、三越伊勢丹ホールディングスの社長人事や大塚家具の父娘の確執などなど興味本位で取り上げられることはたびたびあります。ただし、クックパッド社の場合は創業者で筆頭株主の佐野陽光さん(43)が、どこぞの金融会社の人に突き動かされる形で経営権を取り戻すという王権復帰を果たしました。それにあたって、それまで曲がりなりにもクックパッド社を成長させてきた取締役以下幹部との対立を先鋭化させてむしろ追い出してしまうという、ちょっと最近の好調企業では類を見ないタイプの騒動であることはやはりしっかりと考える必要があるのではないかと感じます。

 そこで、意外と名著である『採用基準』など、人事系のコンサルタント経験がないわけでもなさそうな伊賀女史を起用して、パブリシティと人事戦略の両面で社外取締役としてのポジションで活躍してもらおうと思ったのだとしたら、凄い博打だなと思うわけであります。あるいは、ダイヤモンドその他経済誌全般からのバッシングは避けられたとして、これらの媒体でそれなりに稼げる書き手として重用されてきた伊賀女史を起用すれば、少なくとも伊賀女史と関係の深い媒体からは叩かれづらくなるだろう、みたいな読みがあったのかもしれません。

 さらには、堀江貴文さん(44)がキャピタルフライト防止税制を使うためにアメリカから日本に帰ってこない佐野さんDISに回る一方、そもそも堀江さんはクックパッド社の追い出された経営者・穐田誉輝さん(47)との対談もしていたり関係値があるのでしょう。ポジションがはっきりしているので、そのあたりも含めて考えるにしても、言っていることはその通りではあります。

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 もうここまでくると、クックパッド社の混乱を具にした百鬼夜行の趣であって、ある意味で酒でも飲んでないとやってられないのかもしれません。困ったもんですが、それが世の中の仕組みだ、ということなのでありましょうか。

著者プロフィール

やまもといちろうのジャーナル放談

ブロガー/個人投資家

やまもといちろう

慶應義塾大学卒業。会社経営の傍ら、作家、ブロガーとしても活躍。著書に『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』(宝島社新書)など多数

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やまもと氏がホストを務めるオンラインサロン/デイリーニュースオンライン presents 世の中のミカタ総研

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