VXなど北朝鮮の兵器製造をアシストした国連の「スキャンダル」

まいじつ

(C)Shutterstock
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北朝鮮が金正男氏の暗殺事件で使用した化学兵器『VX』が世界を震撼させている。

北朝鮮は1960年代から生物化学兵器(BC兵器)の開発に取り掛かり、そのうち化学兵器(C兵器)については現在約20種、5000トンあまりを国内全域に分散貯蔵している。なかでも、サリンやVXの生産に集中しているというのがアメリカのCIAの見解だ。

一方、生物兵器(B兵器)はバクテリアやウイルス、カビなどで作られ、においや形態もなく、肉眼で識別することもできない。そのため、C兵器よりも敵に気付かれずに攻撃することができる。即効性もあるが、潜伏期を通して広い範囲で長期間にわたって敵側を焦土化することが可能なので恐ろしい。

BC兵器の使用は国際法で禁止をされているが、北朝鮮はこれに署名をしていない。

BC兵器の特徴をまとめると、以下のようになる。

大量に生産できる 保管が簡単 少量でも多くの人間を殺傷することができる

また、攻撃する場合には、次のような利点がある。

接近が難しい地形でも効果的に攻撃することができる 敵が気付かないうちに痕跡もなく攻撃することができる 目ではっきりと確認できないので敵に恐怖心を抱かせると同時に、多様な装備を準備して対峙しなければならないため、戦闘の効率性を落とすことができる

以上のような特性から、BC兵器は“貧者の核兵器”と呼ばれているのだ。

北朝鮮の兵器製造に国連が関与か

こうした北朝鮮のC兵器製造に「国連が加担した」と言うと、多くの人が驚くに違いない。国際ジャーナリストが解説する。

「北朝鮮は、ウィーンに本部を置く国連工業開発機関(UNIDO)から、機材供給や原料生産の支援を受けたのです。『モントリオール議定書締結国』の規制物質となっている原料を、農薬生産のためと偽ってUNIDOに支援の要請をし、これを受けて2007年4月にUNIDOは入札を実施しています。そして、受注したエジプトの化学製造会社から、サリンやVXの原料に近い物が北朝鮮に輸出されたのです。ところが、国連の専門機関の担当者は、対北安保理決議を破ったことが判明することを恐れて『提供した機材や化学物質は、対北安保理制裁リストには入っていない』と制裁違反を否定することで事件のもみ消しを図ったのです」

北朝鮮は、恐ろしいほどしたたかな国なのである。

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