金正恩氏の「怨念」がさく裂した北メディアの「朴槿恵退陣」報道 (1/2ページ)

デイリーNKジャパン

金正恩氏の「怨念」がさく裂した北メディアの「朴槿恵退陣」報道

朝鮮中央通信は10日、韓国憲法裁判所による朴槿恵大統領罷免(ひめん)の宣告を異例の速さで伝えた。

憲法裁判所の李貞美(イ・ジョンミ)所長代行はこの日、国会で決議された弾劾が妥当かどうかの決定言い渡しを午前11時に開始。間もなく罷免決定が明らかにされた。それから2時間余り後の午後1時半過ぎ、同通信は「ソウルからの報道によると」として、「弾劾を宣告した」と速報したのだ。

自分の「ヘンな写真」も

北朝鮮の国営メディアが、これほど短時間で韓国情勢を伝えるのは異例だ。普段なら翌日の報道でも速いくらいだ。

また、同通信は同じ記事で「(朴氏は)今後、一般犯罪者として本格的に捜査を受けるという」とも伝えた。

また、同通信や朝鮮労働党機関紙の労働新聞は一時、朴氏の退陣を求める韓国国民のデモを詳細に伝えていたが、これもまた異例と言えた。このようなニュースを流せば、言論の自由を奪われている北朝鮮国民に「民主主義とはなんと素晴らしいのか!」という感慨を抱かせてしまうからだ。

それにもかかわらず、北朝鮮メディアが異例の報道を続けた背景には、まず間違いなく金正恩党委員長の個人的な感情がある。正恩氏は、自国メディアの報道内容について、かなり細かい内容まで直々に指示を与えていると思われる。そうでなければ、メディアが正恩氏の「ヘンな写真」を次々に公開できるはずがない。

「次期大統領」にも疑惑

そして、一連の「朴槿恵退陣」報道の裏にある正恩氏の感情は、「怨念」であると思われる。2015年夏、北朝鮮が仕掛けた地雷により韓国軍兵士が吹き飛ばされた事件をきっかけに、朝鮮半島では軍事危機が高まった。北朝鮮と韓国は、軍事行動による威嚇合戦に突入。結局、米韓軍に恐れをなした北朝鮮が「チキンレース」で敗れ、みっともなく謝罪させられる幕切れとなった。

正恩氏は、これが死ぬほど悔しかったと見られ、誹謗中傷を含む朴氏非難を強めてきたのだ。

気になるのは、今後の北朝鮮と韓国の関係だ。近く行われる韓国大統領選では、野党「共に民主党」元代表の文在寅(ムン・ジェイン)氏の当選が有力と見られている。

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