日本国民にとって忘れられない3月11日は私の母の命日でもある (2/2ページ)
もちろん、実家のお墓に入れることは出来ないので、天王寺にある一心寺という寺院に永代供養を頼むことにした。
■永代供養で母を弔った
ちなみにその時まで「永代供養」という制度が存在したことを知らなかった。永代供養はいくらか納めると毎年、年忌のご回向をしてもらえる。一心寺の場合、それと併せて納骨をし、お骨佛を造立してもらうことで、私たちのように何らかの事情でお墓を立てることの出来ない人たちのために供養出来るような仕組みになっているのだ。
私たちは永代供養で十万円を支払った。すると、その後三十三年間、年忌の際に毎年葉書が送られてくる。私たちは命日の3月11日までに寺院へ赴き、ご回向をしてもらう。もし行けなくても、その日になれば代わりにしておいてくれる。お骨佛は冥加料として一万から三万円を支払うと、そのお骨で阿弥陀如来像を造立してもらえる。十年に一体造るということで、母の遺骨は来年、阿弥陀如来となる。
乳白色の柔らかな風合いの阿弥陀如来像は、誰かの骨の集合かと思うと不気味ではあるが、母の遺骨が入ったら、見える風景も少しは変わるのかも知れない。