まったく役に立たない「コロンブスの卵」的発想のオマケ

まいじつ

これに青色を加えた全4色。ちなみに第1弾は、やはり役に立たない「ジャンボ鉛筆」でした
これに青色を加えた全4色。ちなみに第1弾は、やはり役に立たない「ジャンボ鉛筆」でした

「元祖クールジャパン」再検証 ~ファイル12【ユニ坊主】~

“オマケ商法”の嚆矢(こうし:物事の始まり)は大正時代に発売された『グリコ』のカードだそうですが、私が幼少期を過ごした昭和40年代は、まさにオマケ全盛時代でした。その頃も健在だったグリコのオマケをはじめ、『カルビースナック・仮面ライダー』のライダーカードをはじめ、あまたのガムやチョコなどにオマケが付き、どっぷり“オマケづけ”の日々でした。

そんな私が一番の虜になったのが昭和47年の三菱鉛筆『uni』に付いたオマケ『ユニ坊主』です。

1ダースの高級鉛筆がプラケースに入った高価なものだし、オマケ自体も立派だったので“プレミアグッズ”と呼称されていました。

ただの丸いボールに穴が3つ。本当にただそれだけの消しゴムです。消しゴムなのに角がないから字をまったく消せません。大きくて筆箱にも入らないし、丸いからすぐ転がってしまうので、机の上に置いておくこともできません(穴に鉛筆を差しておけば転がりません)。

まだ小学生だった私は、この何の役にも立たない、消しゴムでありながら、消しゴムとして利用されるのを拒むような、自己否定、アンチテーゼの塊のような消しゴムに衝撃を受けました。いま思えば、ユニ坊主こそが『スーパーカー消しゴム』、『キン消し』といったおもちゃ消しゴムの元祖だったのです。

「こんなものが世の中に存在していいんだ。こんなものを作ってもうけていい仕事があるんだ!」

それまで社会というものに何となく不安しか感じていませんでしたが、このオマケに出会ったおかげで、目の前がパ~ッと明るくなった感じがしました。

そう、私にとってユニ坊主は、形こそはまるで違いますが、映画『2001年宇宙の旅』に登場する“モノリス”のような、啓示的な存在なのです。

(写真・文/おおこしたかのぶ)

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