何者にもなれなかった大人に贈る 『蜜蜂と遠雷』は今を生きる勇気をくれる一冊 (2/4ページ)

バリュープレス


また、光や音といった、文章では描けないような感覚的な情景を見事に伝えてくれる技巧的な文章にも驚かされます。

それぞれが見つける「自分が目指すべき姿」
物語の主人公は、「天才」と呼ばれながらも、表舞台から姿を消してしまったかつての天才少女。
音楽の神に愛されながらも、天才の自覚を持たない自由な少年。
聴く者全てを魅了し、自身の才能の中でさらに高みを目指す青年。
そして、一度は音楽家の道を諦めながらも、再び“夢の舞台”を目指すサラリーマンの4人です。

自分の才能を自覚し、その全てをかけて高みを目指す者もいれば、自分よりもはるかに優れた才能を前に立ち尽くしてしまう者もいる。
この物語は、「自分の音楽」とは何か、「自分が目指すべき姿」は何かを追い掛ける主人公たちの姿が、とてもリアルに、そしてみずみずしく描かれています。
「もしもこれが自分だったら……」と、かつて抱いていた夢と、それを追い求める自分の姿を4人の内の誰かに重ねてしまう。本を読みながらもう一度、「何かに向かって頑張ることのつらさと楽しさ」を感じました。


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年齢を重ねると、「何かにチャレンジすること」が段々と難しくなるような気がします。
時間だってお金だって、学生の頃よりも自由に使えるようになり、自分を縛る親からも離れ、厳しく校則を説く先生ももういないはずなのに。
それは、「守るべきもの」や、「積み重ねてきたもの」が、もちろんいい意味でも、そして時として悪い意味でも、自分を守り、抑えてしまうから。
そう、リスクを負ってまで“追い求める夢”に本当に価値があるのか、と。
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