何者にもなれなかった大人に贈る 『蜜蜂と遠雷』は今を生きる勇気をくれる一冊 (3/4ページ)
“あの頃の未来”は自分の手で作っていける
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作品の中にこんなワンフレーズがあります。「二十歳過ぎたら、ただの人」。
かつての天才少女にかけられた言葉です。
少女もまた、「若かりし頃の自分の姿」と「今の自分」とのギャップに苦しみます。
「あの頃のような成果はもう出せないのではないか」と。
ですが、再びコンクールの舞台に戻ってきた彼女は、共に苦しみ、もがき、そして自分の目指す「音楽」のためにがむしゃらに進む若者たちを前に、自分を取り戻していくのです。
未来は「若者の手」にしかない、ついついそんな風に考えてしまうこともありますが、いくつになっても、未来は自分の手で掴んで、そして変えて、作っていけるものだと気付かされます。
「今自分が目指したいもの」、「もう一度やるべきこと」を、考え、そして見つめ直す。
“あの頃思い描いていた自分”は、自分で作っていくものだと、あらためて思わせてくれる作品です。