相続手続を簡素化するという5月開始の「法廷相続情報証明制度」の導入目的

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相続手続を簡素化するという5月開始の「法廷相続情報証明制度」の導入目的

先日、相続手続きの新制度に関する報道が有った。個人的に興味があったので、調べてみたのだが相続人の負担軽減について、新たな制度が開始される内容だった。今回は、新制度について綴ってみたい。制度の内容は、相続人が不動産等を相続した場合、不動産登記の変更手続き(相続により当該不動産等を取得した旨を登記する)に必要な戸籍謄本等の書類一式を登記所で一枚の証明書に纏めて貰えるというものである。当該制度は平成29年5月下旬から開始される予定だ。名称は仮称だが、「法廷相続情報証明制度」となっていて、変更された場合には報道されるだろう。

■「法廷相続情報証明制度」はとにかく煩雑だった相続手続きを簡素化する

何故このような制度が検討され、導入される予定なのかと言えば、現時点での相続手続きでは、不動産登記の変更手続きを始め銀行口座解約や相続税申告に、手続きの窓口ごとに被相続人並びに相続人全員の戸籍謄本・抄本が必要となっていて、手続きの度に必要な部数を揃えなければならない。

しかも、戸籍謄本・抄本の有効期限は、発行日から3ヶ月となっていて、手続きのために申請しても、戸籍謄本・抄本の有効期限が切れていれば受け付けて貰えない。更に、発行手数料も馬鹿にならないし、相続人達が法務局から遠隔地に居住していた場合、交通費や法務局に行く手間もかかる

。相続人がサラリーマン等の勤務者ならば、わざわざ休暇を貰わなければならないことを考えると、一回の手続きで全て済むのならば、相続人に対して充分な負担軽減になるものと思われる。

■空き家対策にも一役買う「法廷相続情報証明制度」

他にはと言えば、空き家対策であろう。上記のように不動産を相続した場合には、相続人に相続税だけではなく、手続き上の大きな負担がかかる。故に、不動産の変更登記が後回しにされ、結果的に所有者が被相続人のまま放置されている不動産が増加しているのだ。

当該制度が開始されれば、手続き上の負担は大きく軽減される。軽減されることにより、相続による不動産の変更登記の申請を増加させ、所有者不明の事態を防ぎ、空き家の削減に繋げるのが狙いなのだろう。

■「法廷相続情報証明制度」の課題とは?

当該制度についての課題もある。

被相続人名義の銀行口座の解約手続き等、民間企業への相続手続きにおいて、纏められた証明書が提出された場合、証明書を採用するか否かは、民間企業の任意となるため、各銀行に証明書の採用について確認しなければならなくなる。現在、政府の関係省庁が銀行等の民間企業と、当該制度の導入について、協議を進めている。今後の関係省庁の発表や、報道が待たれるところだ。

何れにせよ、相続手続きの負担軽減が実現できるなら良いことだと考える。今後も動向を注目していきたい。

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