森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 てるみくらぶの罪 (1/2ページ)
航空券が発券できなかったり、ホテルの予約が取れていないなど、トラブルを頻発させていた旅行会社、てるみくらぶが、3月27日、ついに破産を申請した。負債総額は151億円だが、すでにツアー料金を支払ったにもかかわらず、旅行ができなくなる契約は3万6000件で、被害金額は99億円に及ぶという。
日本旅行業協会の弁済業務保証金制度で、一部が補償される可能性があるが、その額は支払額の1%程度だという。ほぼ全損ということだ。
森友学園が国有地を8億円引きという安さで購入したことに国民の怒りが集中したが、今回の被害はその10倍以上だ。ところが、てるみくらぶを選んで損失を出したのは、消費者の「自己責任」だという意見を言う人も多い。
私は、消費者が事前に経営破たんを予見できたとは思えない。例えば、てるみくらぶの売上高伸び率は、'14年度39%、'15年度51%、'16年度51%と、急成長を続けていたからだ。
山田千賀子社長は、会見で破たんの理由を、新聞広告のコストが嵩んだためと述べたが、その瞬間、私はおかしいと思った。全国紙の全面広告にかかるコストは1回1000万円程度だ。それを100回打ったところで、コストは10億円にとどまる。しかも、売り上げは急増しているのだから、新聞広告は、確実に効果をあげていたことになる。
それでは、破たんの本当の原因は何なのか。それは、てるみくらぶのビジネスモデル自体にある。
てるみくらぶは、売れ残った飛行機の座席を安く仕入れて、格安ツアーを組んでいた。ところが、最近は航空券の販売がネット経由で行われるようになったことを受けて、座席が余ったり、余りそうになった場合は、航空会社自身が格安で座席を売るようになったのだ。
そうした事情は、ホテルも同じだ。その結果、てるみくらぶの仕入れコストは上昇し、利幅が小さくなった。それを埋め合わせるために、てるみくらぶは、売り上げを拡大する戦略に出たのだ。しかし、コスト上昇は、とどまることを知らず、結局、売れば売るほど赤字という状態に陥ってしまった。
事業を撤退・縮小するのは、拡大するよりはるかに難しい。涙ながらに謝罪した山田社長は、「うちがこけたらどうなるかという恐怖があった」と述べたが、それは本音だろう。