フードテックは日本の農業と食をどう変えていくのか? (3/3ページ)

FUTURUS

ーーフードテックファンドが投資するアグリテックはそうした状況を改善する一歩となることが期待されますが、他にはどのような改善が進められているのでしょうか?

農業には工程がたくさんあるため、それぞれのところで技術を用いた改善が研究されています。たとえば苗や種ですと、遺伝子解析により「このDNAを持った種は、こういう土地では、こう生育する」というデータを集めて、機械学習的に研究している大学があります。他には収穫ロボットも出てきています。海外の畑は平地にできているものが多いのですが、日本の場合は山国ということもあり、起伏がある土地に畑が多いんです。そうした場所でも、小さい農家が効率よく収穫できるようにと日本独自の開発がなされています。そして流通においては、鮮度を保って発送する保護フィルムのようなテクノロジーも出てきていますね。それによって農家が直接消費者に作物を届けられるようなことも期待されています。

ーー工場のように大規模な人数と規模で低価格を実現するオランダ農業が注目を集めていますが、それについてはどう思われますか?

これは私個人の見解となりますが、日本では基本的に個人でやっていくのがいいと思っています。オランダと日本では土地や気象的な条件が違うということもあり、同じものを低コストでたくさん作る方向性では海外に負けてしまいます。本質的に日本人は工夫が得意ですし、ひとつの国にいろんな気象条件があるということを逆に強みとして、地域ごとに付加価値の高い美味しいものを作っていく方向性が合っていると考えています。

。写真:坂上春希

ーー最後に今後のフードテックファンドの展望についてお聞かせください。

まずは3~4社としっかりアライアンスを組んで、そのサービスを世の中に広めていくということを成功させたいと考えています。その中でしっかりとフローを磨いて、より大きな規模で展開できるようにしたいですね。純粋な投資ではないので、一件ずつ人出がかかってしまうのが難点ですが、一緒にサービスを広げていけるということが弊社の強みですので、まずは少しずつしっかりと事業に取り組んでいきたいです。

フードテックやアグリテックはいろいろな大学や企業で研究がされているのですが、なかなかビジネスにできていないという状況があります。弊社はマーケティングにも自信がありますので、ハブとしてその橋渡しをしていければと思っています。

【取材協力】

※ オイシックス株式会社 Food Tech Fund セクション・マネージャー 佐藤淳

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